学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ30P104

理由で解く 柔道整復師

QJ30P104 柔道整復理論

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午後 問104
問題
70歳の男性。2週前から足関節捻挫で通所中である。痛みが引かないとクレームを言ってきた。普段から態度が威圧的である。施術にあたり正しいのはどれか。
選択肢
1 施術を中止する。
2 患者の態度をいさめる。
3 施術に対する希望を尋ねる。
4 優遇して施術する。
解答
正解3(施術に対する希望を尋ねる。)
解説

まず患者の話を聴き、施術に何を望んでいるのかを確認することが第一歩です。正しいのは3です。

「痛みが引かない」という訴えは、苦情である前に臨床情報です。2週経過しても症状が改善しない足関節捻挫では、剥離骨折や第5中足骨基部骨折、距骨や腓骨の骨傷、靱帯の完全断裂、足根洞症候群など、初回評価で捉えきれなかった病態が隠れている可能性があります。したがって対応の要は、感情的な反応をせずに訴えを傾聴し、どのような回復を期待しているのか、何に困っているのか(歩行か、仕事か、スポーツ復帰か)を具体的に尋ねることです。そのうえで現在の評価と見通しを言葉で共有し、必要と判断すれば医師の診察を提案します。態度が威圧的であることと、施術の判断を変えることは切り離して考えるべきで、どの患者にも同じ基準の医療を提供するのが専門職の姿勢です。

✓ 3. 正しい
施術に対する希望を尋ねる。
訴えを傾聴し、期待している回復像と生活上の困りごとを具体的に聞き取ることで、認識のずれが明らかになります。あわせて再評価を行い、経過の見通しと今後の計画を説明し、改善が乏しければ医師の診察を提案します。これが信頼関係を立て直し、かつ見落としを防ぐ最も確実な道筋です。
✗ 1. 誤り
施術を中止する。
訴えを聞かずに一方的に中止することは、必要な医療を受ける機会を奪うことになります。継続が困難な事情がある場合でも、まず状況を確認し、他の医療機関を紹介するなど途切れない対応をとります。
✗ 2. 誤り
患者の態度をいさめる。
態度を正面から指摘すると対立が深まり、必要な情報が得られなくなります。まず訴えの中身に耳を傾け、事実と見通しを冷静に共有することが先です。安全が脅かされる場合は、一人で抱えず組織として対応します。
✗ 4. 誤り
優遇して施術する。
強く主張する患者を優遇することは公平性を欠き、他の患者の不利益にもつながります。判断の基準は訴えの強さではなく、あくまで臨床所見と必要性に置きます。
ポイント
  • 訴えはまず臨床情報として受け取る。2週で改善しない足関節捻挫は骨傷・靱帯完全断裂などの見落としを疑い、再評価する。
  • 対応の第一歩は傾聴と、期待している回復像・生活上の困りごとの確認。
  • 現在の所見、見通し、今後の計画を言葉にして共有する(説明と同意)。
  • 改善が乏しい場合は医師の診察を提案し、必要な連携をとる。
  • 態度によって医療の内容を変えない。優遇も排除もせず、同じ基準で対応する。
  • 安全上の懸念がある場合は個人で抱え込まず、施設として記録・共有のうえ対応する。
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