学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §22 各論(軟部組織損傷) 上肢 / QJ30P097

理由で解く 柔道整復師

QJ30P097 柔道整復理論

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午後 問97
問題
腱鞘炎はどれか。
選択肢
1 弾発指
2 槌指
3 スキーヤー母指
4 ロッキングフィンガー
解答
正解1(弾発指)
解説

腱鞘そのものの炎症(狭窄性腱鞘炎)に該当するのは弾発指です。正しいのは1です。

手指の疾患は、どの組織が壊れたのかで分類すると整理できます。腱鞘炎は腱を包む鞘の炎症・肥厚で腱の滑走が妨げられる病態、腱損傷は腱そのものの断裂、靱帯損傷は関節を支える靱帯の破綻、そして関節のロッキングは骨形態や関節包・掌側板による機械的な引っかかりです。弾発指(ばね指)は、手指屈筋腱が最も強い摩擦を受けるMP関節掌側のA1腱鞘(靱帯性腱鞘)部で腱と腱鞘が肥厚し、指を伸ばす際にばね現象(弾発現象)を生じるものです。中年女性、糖尿病、透析患者、手をよく使う職業で多くみられます。手指の狭窄性腱鞘炎としては、母指側の短母指伸筋腱・長母指外転筋腱が第1区画で絞扼されるドケルバン病も併せて覚えておきましょう。

✓ 1. 正しい
弾発指
屈筋腱とA1腱鞘の間で生じる狭窄性腱鞘炎です。肥厚した腱(結節)が腱鞘の入口を通過する際に引っかかり、ばね現象や屈曲位でのロッキングを生じます。局所の安静、手指の使い方の指導、腱の滑走を促す運動から対応し、改善に乏しければ医師の診察(注射・手術)につなぎます。
✗ 2. 誤り
槌 指
マレットフィンガーで、DIP関節での終止腱の断裂(腱性)または末節骨背側の裂離骨折(骨性)です。腱・骨の損傷であり、腱鞘の炎症ではありません。DIP伸展位固定が基本で、骨性は転位により手術適応となります。
✗ 3. 誤り
スキーヤー母指
母指MP関節尺側側副靱帯の損傷です。ストックを握ったまま転倒し母指が橈側へ強制外転されて生じます。靱帯損傷であり腱鞘炎ではありません。
✗ 4. 誤り
ロッキングフィンガー
MP関節が屈曲位のまま伸展できなくなる状態で、掌側板や副靱帯が中手骨頭の隆起に引っかかることが原因とされます。関節構成体による機械的な引っかかりで、腱鞘の炎症ではありません。
ポイント
  • 弾発指=屈筋腱のA1腱鞘部(MP関節掌側)に生じる狭窄性腱鞘炎。ばね現象が特徴。
  • 背景に中年女性、糖尿病、透析、手の使いすぎ。原因となる動作の見直しが再発予防に直結する。
  • 槌指は終止腱断裂または末節骨背側の裂離骨折=腱・骨の損傷。
  • スキーヤー母指は母指MP関節尺側側副靱帯損傷=靱帯の損傷。
  • ロッキングフィンガーはMP関節の機械的な引っかかり=関節構成体の問題。
  • 手指のもう一つの代表的狭窄性腱鞘炎はドケルバン病(短母指伸筋腱・長母指外転筋腱、フィンケルシュタインテスト)。
比較表
疾患障害される組織分類
弾発指屈筋腱とA1腱鞘狭窄性腱鞘炎
槌指終止腱/末節骨背側腱断裂・裂離骨折
スキーヤー母指母指MP関節尺側側副靱帯靱帯損傷
ロッキングフィンガー掌側板・副靱帯と中手骨頭関節の機械的ロッキング
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