学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §19 各論(脱臼) 上肢 / QJ30P090

理由で解く 柔道整復師

QJ30P090 柔道整復理論

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午後 問90
問題
肘関節後方脱臼で正しいのはどれか。
選択肢
1 肘頭骨折を伴いやすい。
2 ヒューター三角が乱れる。
3 上腕二頭筋が索状に触れる。
4 肘関節 90度で弾発性固定される。
解答
正解2(ヒューター三角が乱れる。)
解説

肘関節後方脱臼では、上腕骨内側上顆・外側上顆・肘頭がつくるヒューター三角の位置関係が崩れる。顆上骨折では三角が保たれる点が鑑別の決め手になる。

肘関節後方脱臼は、肘を軽く曲げて手をついた際に前腕が後方へ押し上げられ、鉤状突起が上腕骨滑車を乗り越えて後方へ移動することで起こる。外観では肘頭が後方に突出し、前方には上腕骨遠位端が触れる。弾発性固定は約30〜40度の軽度屈曲位で、この肢位で上腕三頭筋腱が索状に緊張して触れる。合併しやすい骨折は鉤状突起骨折、橈骨頭骨折、若年者では内側上顆骨折で、鉤状突起骨折と橈骨頭骨折をともに伴うものはterrible triadと呼ばれ予後が悪い。ヒューター線(伸展位で3点が一直線)とヒューター三角(屈曲90度で二等辺三角形)は骨性の指標であり、脱臼では骨そのものの位置関係が動くため乱れる。一方、顆上骨折は骨折線が三角の近位にあるので3点の関係は保たれる。整復後は血管・神経(上腕動脈、正中神経、尺骨神経)の確認と、骨折合併の評価のため医師への紹介を行う。

✓ 2. 正しい
ヒューター三角が乱れる。
脱臼では肘頭が上腕骨顆部より後上方へ移動するため、内側上顆・外側上顆・肘頭の三角関係が崩れる。顆上骨折との鑑別に使える基本所見で、腫脹が強くて触れにくいときも、骨性の指標として粘り強く確認する価値がある。
✗ 1. 誤り
肘頭骨折を伴いやすい。
後方脱臼で合併しやすいのは鉤状突起骨折・橈骨頭骨折・内側上顆骨折である。肘頭は上腕三頭筋の牽引や直達外力で単独に折れることが多く、肘頭が折れると前腕を後方へ押し上げる支点が失われるため、脱臼との合併はむしろまれである。
✗ 3. 誤り
上腕二頭筋が索状に触れる。
後方脱臼で索状に緊張して触れるのは上腕三頭筋腱である。肘頭が後上方へ引き上げられ、その付着腱が張るために生じる所見で、筋名を取り違えないよう「後方脱臼=後ろの筋(三頭筋)が張る」と結びつけて覚える。
✗ 4. 誤り
肘関節 90度で弾発性固定される。
弾発性固定される肢位は約30〜40度の軽度屈曲位である。90度屈曲位は正常に近い肢位で、この角度で固定されるという記載は当てはまらない。ちなみにヒューター三角を確認するのは屈曲90度で、角度の数字を混同しやすいので整理しておく。
ポイント
  • 肘関節後方脱臼=ヒューター三角・ヒューター線が乱れる。顆上骨折では保たれる。
  • 弾発性固定は約30〜40度の軽度屈曲位。上腕三頭筋腱が索状に緊張して触れる。
  • 肘頭後方突出、前方に上腕骨遠位端を触知。前腕は短縮してみえる。
  • 合併骨折は鉤状突起骨折・橈骨頭骨折・内側上顆骨折(terrible triadに注意)。
  • 整復前後に上腕動脈・正中神経・尺骨神経の状態を確認し、骨折合併の評価は医師へ。
比較表
項目肘関節後方脱臼上腕骨顆上骨折(伸展型)
ヒューター三角・線乱れる保たれる
前腕長短縮してみえる正常
固定性弾発性固定(約30〜40度屈曲位)異常可動性・軋轢音
好発年齢青壮年に多い小児に多い
合併しやすい損傷鉤状突起・橈骨頭・内側上顆骨折正中神経・上腕動脈損傷、内反肘
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。