学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §22 各論(軟部組織損傷) 上肢 / QJ30P075

理由で解く 柔道整復師

QJ30P075 柔道整復理論

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午後 問75
問題
腱板断裂患者の日常生活上の指導で誤っているのはどれか。
選択肢
1 就寝時に患側が下になるよう指導する。
2 不具合は遠慮なく訴えるよう指導する。
3 トイレでの清拭は健側使用を指導する。
4 重い物を患側で持たないよう指導する。
解答
正解1(就寝時に患側が下になるよう指導する。)
解説

腱板断裂の夜間痛は、患側を下にして寝ると強くなる。就寝時は患側を上にし、肘の下にクッションを入れて上肢を支える姿勢を勧めるのが適切である。

腱板断裂では断裂部と肩峰下滑液包に炎症があり、そこへ体重がかかると滑液包内圧が上がって腱の血流も落ちるため、患側を下にした側臥位は痛みを強める。夜間痛は睡眠不足を招き、痛みへの過敏さと肩の使わなさ(廃用)を進めて悪循環になる。したがって指導は、患側を上にした側臥位か仰臥位を基本とし、上肢が後ろに落ちないよう脇の下と前腕の下にクッションやタオルを当てて、肩をやや前方・軽度外転位で支える形にする。日常生活では、結帯・結髪動作や重量物の保持など痛みの出る肢位を避けたうえで、痛みの出ない範囲の自動運動と振り子運動を続けて拘縮を防ぐ。避けることだけを伝えるのではなく、代わりにどうするかまで具体的に示すのが要点である。

✓ 1. これが答え(誤っている指導)
就寝時に患側が下になるよう指導する。
患側を下にすると肩峰下スペースが体重で圧迫され、滑液包内圧の上昇と腱の血流低下から夜間痛が強まる。正しくは患側を上にした側臥位または仰臥位とし、肘と前腕の下にクッションを入れて上肢の重みを支え、肩がベッドに沈み込まないようにする。
✗ 2. 答えではない(適切な指導)
不具合は遠慮なく訴えるよう指導する。
夜間痛の増悪、しびれ、固定具による圧迫や擦れ、動きの悪化などは、早く伝えてもらうほど対応できる。訴えやすい関係をつくることは、症状の変化を見逃さないための実務的な指導である。
✗ 3. 答えではない(適切な指導)
トイレでの清拭は健側使用を指導する。
清拭の動作は肩の伸展・内旋を要し、腱板断裂ではまさに痛みの出る肢位にあたる。健側で行うよう切り替えることで、痛みを避けながら日常動作の自立を保てる。
✗ 4. 答えではない(適切な指導)
重い物を患側で持たないよう指導する。
重量物の保持は腱板に牽引ストレスを加え、断裂の拡大や疼痛の増悪につながる。買い物袋は健側で持つ、リュックを使う、台車を使うなど、代わりの方法まで一緒に決めておくとよい。
ポイント
  • 患側を下にした側臥位は肩峰下を圧迫して夜間痛を強める。患側は上、または仰臥位。
  • 肘・前腕の下にクッションを入れ、肩をやや前方・軽度外転位で支えると楽になる。
  • 痛みの出る肢位(結帯・結髪、重量物保持)は健側や道具に置き換える。
  • 避ける指導だけで終えず、代わりの方法をセットで伝える。
  • 症状の変化を早く伝えてもらう関係づくりも指導の一部。
比較表
場面勧める方法避ける方法
就寝患側を上にした側臥位/仰臥位+クッションで上肢を支える患側を下にした側臥位
トイレでの清拭健側で行う患側の伸展・内旋を強いる動作
荷物健側で持つ、リュックやカートを使う患側で重量物を保持する
運動痛みの出ない範囲の自動運動・振り子運動痛みを我慢した挙上運動・長期の完全安静
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