学習トップ理由で解く 柔道整復師外科学概論 ▸ §16 脳卒中(救急法) / QJ30P054

理由で解く 柔道整復師

QJ30P054 外科学概論

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午後 問54
問題
回転性めまい、ふらつき、頭痛を訴えた場合、脳内出血の部位で疑うのはどれか。
選択肢
1 被殻
2 視床
3 小脳
4 くも膜下
解答
正解3(小脳)
解説

回転性めまい・ふらつき・頭痛という組合せは、平衡と協調運動を司る小脳の出血を疑わせる。

小脳は平衡機能と協調運動の中枢で、上小脳動脈系(歯状核付近)からの出血が典型である。小脳出血の一般的な病像としては、回転性めまい、嘔吐、患側へ倒れる傾向、体幹失調により立てない・歩けない(起立歩行不能)といった症状に、後頭部痛が加わる。錐体路は小脳を通らないため片麻痺は原則として前面に出ず、めまいと平衡障害が主体になるのが特徴である。設問の回転性めまい・ふらつき・頭痛は、この病像の中心にあたる訴えといえる。注意すべきは経過で、血腫が増大すると第四脳室が圧迫されて急性水頭症を来したり、脳幹が直接圧迫されて意識障害や呼吸障害に至る。このため血腫径がおよそ3 cmを超える例や脳幹圧迫のある例では、緊急の血腫除去術や脳室ドレナージが検討される。施術所でこうした症状を訴える人に出会ったら、施術を行わず、直ちに救急要請して医療機関へつなぐ。

✓ 3. これが答え
小脳
小脳は平衡と協調運動を司るため、出血すると回転性めまい・ふらつき(体幹失調)が生じ、頭痛(後頭部痛)を伴う。錐体路を含まないので片麻痺よりめまい・平衡障害が前面に出る点も、設問の訴えとよく合う。
✗ 1. 当てはまらない
被殻
脳内出血で最も頻度が高い部位。内包に近いため反対側の片麻痺・感覚障害が主症状となり、病巣側への共同偏視がみられる。めまいが前面に出る病像ではない。
✗ 2. 当てはまらない
視床
視床は感覚の中継核であり、反対側の感覚障害が運動障害より目立つ。眼球が内下方を向く共同偏視(鼻先を見つめるような眼位)が特徴的とされる。
✗ 4. 当てはまらない
くも膜下
くも膜下腔は脳実質の外であり、そこへの出血であるくも膜下出血は脳内出血とは区別される。症状も「突然の激しい頭痛」と嘔吐・項部硬直が中心で、設問の病像とは異なる。
ポイント
  • 小脳出血=回転性めまい・嘔吐・後頭部痛・起立歩行不能(体幹失調)。片麻痺は原則目立たない。
  • 被殻出血は最多で反対側片麻痺+病巣側への共同偏視、視床出血は感覚障害+内下方への共同偏視。
  • 小脳出血は第四脳室圧迫による急性水頭症・脳幹圧迫が怖い。血腫径3 cm超などで緊急手術が検討される。
  • くも膜下出血は脳実質外への出血で「突然の激しい頭痛」+項部硬直。脳内出血とは別枠で整理する。
  • 施術中にこれらの症状が出たら施術を中止し、直ちに救急要請して医療機関へつなぐ。
比較表
部位主な症状眼球所見
被殻反対側の片麻痺・感覚障害(脳内出血で最多)病巣側への共同偏視
視床反対側の感覚障害が強い内下方への共同偏視
小脳回転性めまい、嘔吐、後頭部痛、起立歩行不能。片麻痺は目立たない眼振
意識障害、四肢麻痺、高熱両側の著明な縮瞳
くも膜下腔(くも膜下出血)突然の激しい頭痛、嘔吐、項部硬直(脳実質外の出血)
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