学習トップ理由で解く 柔道整復師外科学概論 ▸ §11 止血 / QJ30P053

理由で解く 柔道整復師

QJ30P053 外科学概論

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午後 問53
問題
誤っている組合せはどれか。
選択肢
1 下部消化管出血-タール便
2 静脈性出血非拍動性
3 鼻出血-キーゼルバッハ
4 血尿尿管結石
解答
正解1(下部消化管出血-タール便)
解説

タール便(黒色便)は上部消化管出血のサインである。下部消化管からの出血は赤い血が混じった血便になるため、「下部消化管出血」と「タール便」の組合せが誤り。

食道・胃・十二指腸(トライツ靱帯より口側)から出血すると、血液中のヘモグロビンが胃酸や腸内細菌の作用を受けて塩酸ヘマチンに変化し、コールタールのように黒く粘る便(メレナ)となる。腸管内にとどまる時間が長いほど黒くなるため、便の色は「出血部位がどれだけ口側か」を映す手がかりになる。一方、大腸や直腸など下部から出血した血液は変性を受ける時間がないまま排出されるので、鮮血便(血便)となる。右側結腸など通過時間が長い部位では暗赤色便になることもある。吐血を伴えば上部と判断できるが、下血だけでは部位を絞りにくい。さらに、上部からの出血でも大量かつ急速であれば腸管の通過が速まって鮮血便となることがあり、逆に鉄剤やビスマス製剤の内服でも便は黒くなる。色だけで断定せず、吐血の有無・経過・随伴症状と合わせて判断したい。

✓ 1. これが誤った組合せ(正解)
下部消化管出血-タール便
タール便は血液が胃酸・腸内細菌で変性して黒色化したもので、上部消化管(食道・胃・十二指腸)出血の所見である。下部消化管出血では変性を受ける時間がなく、鮮血便や暗赤色便になる。
✗ 2. 正しい組合せ(答えではない)
静脈性出血非拍動性
静脈性出血は非拍動性で、これは正しい組合せ。静脈には心拍の圧変動が伝わりにくいため、暗赤色の血液がじわじわと持続的にあふれる。拍動性に噴出するのは動脈性出血で、色も鮮紅色となる。
✗ 3. 正しい組合せ(答えではない)
鼻出血-キーゼルバッハ
鼻出血とキーゼルバッハ部位は正しい組合せ。鼻中隔前下部のキーゼルバッハ部位は細い動脈が吻合して網を作り、粘膜が薄く外力を受けやすいため鼻出血の好発部位となる。応急処置は坐位で軽く下を向かせ、鼻翼を数分間しっかり圧迫する。
✗ 4. 正しい組合せ(答えではない)
血尿尿管結石
尿管結石で血尿をきたすのは正しい組合せ。結石が尿路粘膜を傷つけることで血尿が生じる。側腹部から鼠径部へ放散する激しい疝痛(背部叩打痛を伴う)と血尿の組合せは、尿管結石を強く示唆する。
ポイント
  • タール便(黒色便・メレナ)=上部消化管出血。血液が胃酸・腸内細菌でヘマチンに変性して黒くなる。
  • 下部消化管出血=鮮血便・暗赤色便。変性する時間がないので赤いまま出る。
  • 動脈性出血は鮮紅色・拍動性、静脈性出血は暗赤色・非拍動性。色と拍動でセットで覚える。
  • 鼻出血の好発部位はキーゼルバッハ部位(鼻中隔前下部)。鼻翼を圧迫して止血する。
  • 尿管結石は「側腹部〜鼠径部への疝痛+血尿」が典型。柔道整復の現場でも腰背部痛との鑑別で重要。
比較表
上部消化管出血下部消化管出血
部位食道・胃・十二指腸(トライツ靱帯より口側)小腸下部・大腸・直腸
便の性状タール便(黒色・粘稠)鮮血便・暗赤色便
吐血あり得る(コーヒー残渣様)なし
主な原因胃・十二指腸潰瘍、食道静脈瘤大腸憩室出血、大腸癌、痔核
動脈性出血静脈性出血
鮮紅色暗赤色
出方拍動性に噴出非拍動性、持続的にあふれる
止血直接圧迫を強く、迅速に直接圧迫と挙上で比較的止まりやすい
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