学習トップ理由で解く 柔道整復師外科学概論 ▸ §11 止血 / QJ31P052

理由で解く 柔道整復師

QJ31P052 外科学概論

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午後 問52
問題
外出血の部位と症候の組合せで誤っているのはどれか。
選択肢
1 気管喀血
2 小腸吐血
3 膀胱血尿
4 子宮性器出血
解答
正解2(小腸吐血)
解説

吐血は上部消化管、すなわちトライツ靱帯より口側(食道・胃・十二指腸)からの出血で起こります。本問で吐血と対比されている「小腸」は、トライツ靱帯より肛門側にある空腸・回腸を指し、ここからの出血は肛門側へ流れて下血となります。したがって「小腸−吐血」の組合せが誤りです。

出血は、血液が体外に出る外出血と、体腔・組織内にとどまる内出血に大きく分かれます。外出血は「どこから出た血が、どの出口から出るか」で呼び名が決まります。気道からの出血が咳とともに口から出れば喀血で、鮮紅色・泡沫状でアルカリ性、しばしば咳や呼吸器症状を伴います。上部消化管からの出血が嘔吐で出れば吐血で、胃酸で変性するためコーヒー残渣様〜暗赤色を呈し酸性です(食道静脈瘤破裂など出血が急速な場合は鮮紅色のこともあります)。トライツ靱帯より肛門側の出血は腸管を下って下血となり、上部〜空腸・回腸なら黒色タール便、大腸・直腸なら鮮血便になります。ここで注意したいのが小腸の範囲です。解剖学上、小腸は十二指腸・空腸・回腸からなりますが、そのうち十二指腸はトライツ靱帯(十二指腸空腸曲)より口側にあたるため上部消化管に属し、十二指腸潰瘍では吐血をきたします。つまり「小腸だから下血」なのではなく、「トライツ靱帯より肛門側だから下血」と押さえるのが正確で、本問の小腸は十二指腸を除いた空腸・回腸の意味で使われています。尿路からの出血は血尿、女性生殖器からの出血は性器出血です。出口を手がかりに出血源の臓器を絞り込む、という発想でこの表は読めます。

✓ 2. これが誤った組合せ(=設問の答え)
小腸吐血
ここでいう小腸は、トライツ靱帯より肛門側にある空腸・回腸を指します。この部位から出た血液は蠕動によって肛門側へ運ばれ、下血(黒色タール便や暗赤色便)として現れるため、吐血との組合せは誤りです。吐血をきたすのは、トライツ靱帯より口側の食道・胃・十二指腸といった上部消化管です。なお十二指腸も解剖学的には小腸の一部ですが、トライツ靱帯より口側にあるため上部消化管出血として扱われ、十二指腸潰瘍では吐血が起こり得ます。この点を混同しないよう、境界はあくまでトライツ靱帯であると覚えてください。吐血・下血を認める人を扱う機会があれば、循環動態(顔色、脈拍、冷汗、立ちくらみ)を確認して速やかに医療機関へつなぎましょう。
✗ 1. 正しい組合せ(=答えではない)
気管喀血
気管・気管支・肺からの出血は咳とともに喀出され、喀血となります。鮮紅色で泡沫を含み、アルカリ性である点が吐血との鑑別点です。
✗ 3. 正しい組合せ(=答えではない)
膀胱血尿
膀胱をはじめ腎・尿管・尿道など尿路からの出血は血尿として現れます。膀胱腫瘍や膀胱炎、結石が原因となり、痛みを伴わない肉眼的血尿は腫瘍の検索が必要です。
✗ 4. 正しい組合せ(=答えではない)
子宮性器出血
子宮など女性生殖器からの出血は性器出血と呼ばれます。月経以外の不正性器出血は、子宮筋腫や子宮体癌・頸癌、妊娠に関連する病態などの検索が必要です。
ポイント
  • 吐血と下血の境界は臓器名ではなくトライツ靱帯。口側(食道・胃・十二指腸)=吐血、肛門側=下血。
  • 小腸は十二指腸+空腸+回腸。十二指腸だけはトライツ靱帯より口側=上部消化管なので吐血をきたす。本問の「小腸」は空腸・回腸の意味。
  • 喀血は鮮紅色・泡沫状・アルカリ性で咳とともに。吐血はコーヒー残渣様・暗赤色・酸性で嘔吐とともに。
  • 下血は上部〜空腸・回腸なら黒色タール便、大腸・直腸なら鮮血便になりやすい。
  • 血尿=腎・尿管・膀胱・尿道。性器出血=子宮など女性生殖器。
  • 外出血は「出口」から出血源をたどる。大量出血では循環血液量減少性ショックに注意し、循環動態を確認する。
比較表
喀血吐血
出血源気管・気管支・肺食道・胃・十二指腸(トライツ靱帯より口側)
出かた咳とともに喀出嘔吐とともに
色調鮮紅色コーヒー残渣様〜暗赤色
性状泡沫を含む食物残渣が混じる
pHアルカリ性酸性
随伴呼吸困難・胸痛悪心・下血(タール便)
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