学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / 一般臨床医学 ▸ §21 臨床実地問題 / QJ30P045
理由で解く 柔道整復師
インスリン治療中の患者に生あくび・眠気が現れ、皮膚が湿潤(冷汗)し頻脈を伴う――低血糖発作の典型像です。意識があり自分で飲み込めるうちに、まず砂糖(糖分)を経口摂取させます。
低血糖の症状は二段階で現れます。まず血糖低下を感知した体がアドレナリンなどを放出し、発汗(冷汗)・動悸や頻脈・手指振戦・顔面蒼白・強い空腹感といった交感神経症状が出ます。さらに血糖が下がると、ブドウ糖をほぼ唯一のエネルギー源とする脳が機能低下を起こし、生あくび・眠気・集中力低下・頭痛・異常行動、やがてけいれんや昏睡へ進みます。本例の「眠気と生あくび」は中枢神経症状、「皮膚湿潤と頻脈」は交感神経症状で、両者がそろっているため低血糖はかなり進行しつつある段階といえます。低血糖は放置すると不可逆的な脳障害に至りうるため、判断を待たずに糖を補うのが原則です(血糖値が測れなくても、疑ったら糖を与えてよい)。具体的にはブドウ糖10g(またはブドウ糖を含む清涼飲料水150〜200mL)、砂糖(ショ糖)なら20gを摂らせ、10〜15分後に症状を再確認し、改善がなければ同量をもう一度与えるとともに救急要請を考えます。α-グルコシダーゼ阻害薬を併用している患者では砂糖(ショ糖)の分解・吸収が遅れるため、ブドウ糖でなければ効きが悪い点も押さえておきましょう。意識が悪く飲み込めないときは無理に飲ませず(誤嚥の危険)、直ちに救急要請します。回復しても施術は中止して安静にし、食事や注射のタイミングを確認したうえで主治医への連絡・受診を勧めます。
| 項目 | 低血糖(本症例) | 高血糖(糖尿病ケトアシドーシス=DKA/高浸透圧高血糖状態=HHS) |
|---|---|---|
| 発症の速さ | 急激(分〜時間) | 緩徐(数時間〜数日) |
| 誘因 | インスリン・経口血糖降下薬の過量、食事の遅れ・欠食、過度の運動 | インスリンの中断(DKAに多い)、感染・脱水、過食 |
| 皮膚 | 湿潤(冷汗)・蒼白 | 乾燥・発赤傾向 |
| 脈拍 | 頻脈 | 頻脈(脱水による)だが弱い |
| 特徴的な症状 | 空腹感、手指振戦、生あくび、眠気、異常行動 | 口渇・多飲・多尿、悪心・嘔吐/DKAでは深く大きい呼吸(Kussmaul呼吸)とアセトン臭/HHSでは著明な脱水と意識障害が前面(ケトーシスは軽度でアセトン臭は原則なし) |
| 初期対応 | 糖の経口摂取(飲めなければ救急要請) | 救急要請・医療機関での輸液とインスリン治療 |
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