学習トップ理由で解く 柔道整復師外科学概論 ▸ §1 損傷 / QJ30P046

理由で解く 柔道整復師

QJ30P046 外科学概論

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午後 問46
問題
広範囲熱傷の処置で誤っているのはどれか。
選択肢
1 無菌的な操作
2 壊死組織の切除
3 植皮による創閉鎖
4 抗菌薬の全身投与
解答
正解4(抗菌薬の全身投与)
解説

広範囲熱傷では、感染予防を目的とした抗菌薬の全身投与をはじめから漫然と行うことはしない。全身投与は感染の徴候が出た時点で、培養結果に基づいて開始するのが原則である。

熱傷創は皮膚のバリアが失われ、細菌にとって格好の培地となる。しかし壊死した焼痂(エスカー)は血流が途絶えているため、点滴や内服で投与した抗菌薬は創面までほとんど届かない。届かないまま投与を続ければ、腸内や皮膚の常在菌叢が乱れて耐性菌や真菌(カンジダ)による感染を招く。そこで局所はスルファジアジン銀などの外用抗菌薬と創被覆で管理し、感染源となる壊死組織は早期に切除(デブリードマン・焼痂切除)して、植皮で創を閉じるという流れが標準となる。発熱・創の悪化・血液培養陽性など感染が疑われたら、その時点で起因菌に合わせた抗菌薬を全身投与する。

✓ 4. これが誤り(正解)
抗菌薬の全身投与
焼痂は無血管野なので全身投与薬が創部に届かず、予防目的での投与は耐性菌・真菌感染を増やす。全身投与は「予防」ではなく「感染が疑われたときに、培養に基づいて」行うのが原則で、日常的な処置として挙げるのは適切でない。
✗ 1. 正しい記述(答えではない)
無菌的な操作
皮膚バリアが失われた熱傷創は易感染状態にある。処置は手指衛生・滅菌手袋・清潔な器材を用いた無菌的操作で行い、創からの二次感染を防ぐ。
✗ 2. 正しい記述(答えではない)
壊死組織の切除
壊死組織は細菌の温床であり、また放置すると全身の炎症反応を長引かせる。早期に切除して健常な創面を出すことが、感染制御と創閉鎖の前提になる。
✗ 3. 正しい記述(答えではない)
植皮による創閉鎖
深達性II度〜III度の広範囲熱傷は自然上皮化が期待できない。分層植皮やメッシュ植皮で早期に創を閉じることが、感染・体液喪失・瘢痕拘縮を減らす最も確実な手段である。
ポイント
  • 広範囲熱傷の感染対策は「無菌操作+局所(外用)抗菌薬+早期デブリードマン+植皮による創閉鎖」の4本柱。
  • 抗菌薬の全身投与は予防目的では行わず、感染徴候が出てから培養結果に基づいて選択する。
  • 焼痂は血流のない組織なので、全身投与薬は創面に到達しにくい=局所治療が主役になる理屈。
  • 予防的全身投与を続けると、耐性菌や真菌(カンジダ)による感染を招きやすい。
  • 初期はBaxter(Parkland)式などによる大量輸液で循環血液量を維持することも同時に重要。
比較表
局所(創)に対して全身に対して
感染対策無菌的操作、外用抗菌薬(スルファジアジン銀など)、創被覆感染が疑われた時点で培養に基づく抗菌薬投与
壊死組織早期の焼痂切除・デブリードマン切除で炎症反応の遷延を抑える
創閉鎖分層植皮・メッシュ植皮体液喪失と感染門戸を減らす
循環受傷後の大量輸液(Baxter式など)と尿量モニタ
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