学習トップ理由で解く 柔道整復師一般臨床医学 ▸ §8 診察各論 感覚検査 / QJ30P030

理由で解く 柔道整復師

QJ30P030 一般臨床医学

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午後 問30
問題
脊髄後索の病変で障害されるのはどれか。
選択肢
1 味覚
2 痛覚
3 温度覚
4 振動覚
解答
正解4(振動覚)
解説

脊髄後索を通るのは、振動覚・位置覚といった深部感覚と、二点識別などの識別性触覚です。後索が障害されると振動覚が低下します。

感覚の伝導路は大きく二つに分かれます。後索-内側毛帯路では、後根から入った一次ニューロンの線維が交叉せずに同側の後索を上行し、延髄の後索核(薄束核・楔状束核)で乗り換えてから交叉し、内側毛帯を経て視床、大脳の中心後回へ達します。これが振動覚・位置覚・識別性触覚のルートです。これに対して痛覚・温度覚は外側脊髄視床路を通ります。後根から入った線維は脊髄後角で二次ニューロンに乗り換えたあと、1〜2髄節上行してから前白交連で交叉し、対側の側索(外側脊髄視床路)を上行します。交叉する場所が違うため、脊髄半側の障害では同側の深部感覚障害と対側の痛温覚障害が現れます(ブラウン・セカール症候群)。このとき、交叉の前に1〜2髄節上行する分だけ、痛温覚障害の上縁は病巣レベルよりやや下(1〜2髄節下)から始まる点が所見レベルの判定で重要です。後索が障害されると足の位置がわからず、閉眼で立位が保てないロンベルグ徴候陽性や感覚性運動失調をきたし、ビタミンB12欠乏による亜急性連合性脊髄変性症や脊髄癆が代表です。味覚は脳神経が伝えるため、脊髄は関与しません。

✓ 4. 正しい
振動覚
振動覚は位置覚とともに後索-内側毛帯路を上行する深部感覚です。後索病変では音叉を用いた振動覚検査で低下がみられ、ロンベルグ徴候陽性を伴います。
✗ 1. 誤り
味覚
味覚は顔面神経・舌咽神経・迷走神経が伝え、延髄の孤束核に入ります。脊髄を通らないため、後索病変では障害されません。
✗ 2. 誤り
痛覚
痛覚は脊髄後角で乗り換えた後、1〜2髄節上行してから前白交連で交叉し、対側の外側脊髄視床路を上行します。後索ではなく側索を通るため、後索病変では保たれます。
✗ 3. 誤り
温度覚
温度覚も痛覚と同じ外側脊髄視床路を通ります。後索とは経路が異なるので、後索病変では障害されません。
ポイント
  • 後索-内側毛帯路=振動覚・位置覚・識別性触覚。同側の後索を上行し、交叉は延髄(後索核で乗り換えた後)。
  • 外側脊髄視床路=痛覚・温度覚。後角で乗り換えた後、1〜2髄節上行してから前白交連で交叉し、対側の側索を上行する。
  • 交叉部位の違いから、脊髄半側障害(ブラウン・セカール症候群)では同側の深部感覚障害+対側の痛温覚障害となる。痛温覚障害の上縁は病巣レベルよりやや下(1〜2髄節下)になる。
  • 後索障害の徴候:振動覚・位置覚低下、ロンベルグ徴候陽性、感覚性運動失調。原因はビタミンB12欠乏(亜急性連合性脊髄変性症)、脊髄癆など。
  • 振動覚は128Hz音叉を内果・外果や橈骨茎状突起に当てて左右差を比べる。異常があれば記録し、神経内科の評価につなげる。
比較表
伝導路伝える感覚交叉する場所障害時の特徴
後索-内側毛帯路振動覚、位置覚、識別性触覚延髄(後索核で乗り換えた後)同側の深部感覚障害、ロンベルグ徴候陽性
外側脊髄視床路痛覚、温度覚脊髄(後角で乗り換え、1〜2髄節上行してから前白交連で交叉)対側の痛温覚障害(障害の上縁は病巣より1〜2髄節下)
脳神経(顔面・舌咽・迷走)味覚―(孤束核へ)脊髄病変では障害されない
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