学習トップ理由で解く 柔道整復師一般臨床医学 ▸ §8 診察各論 感覚検査 / QJ29P032

理由で解く 柔道整復師

QJ29P032 一般臨床医学

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午後 問32
問題
感覚で正しいのはどれか。
選択肢
1 温度覚は表在感覚である。
2 振動覚は脊髄の前索を伝わる。
3 舌下神経に障害があると味覚が消失する。
4 足踏み検査で大脳の障害を検出する。
解答
正解1(温度覚は表在感覚である。)
解説

温度覚は痛覚・触覚とともに皮膚・粘膜で受容される表在感覚であり、1が正しい。他の3肢は伝導路・支配神経・検査の目的がそれぞれ入れ替わっている。

感覚は受容部位で三つに整理する。皮膚・粘膜で受ける痛覚・温度覚・触覚が表在感覚、筋・腱・関節で受ける位置覚・運動覚・振動覚・深部痛覚が深部感覚、そして大脳頭頂葉での統合を要する立体覚・二点識別覚・皮膚書字覚が複合感覚である。伝導路も対になっており、温痛覚は脊髄後角で二次ニューロンに乗り換えて反対側へ交叉し、側索を上行する外側脊髄視床路を通る。粗大触覚・圧覚は同様に交叉したうえで前索を上行する前脊髄視床路を通り、この二つを合わせて「前側索系(脊髄視床路系)」と総称するが、これは前索そのものを指す語ではない。一方、深部感覚と識別性触覚は同側の後索(薄束・楔状束)を上行して延髄の後索核で乗り換え、そこで交叉して内側毛帯を上る。「温痛覚は入ってすぐ交叉、深部感覚は延髄まで同側」という違いが、脊髄半側切断(ブラウン・セカール症候群)で解離性感覚障害が生じる理由である。

✓ 1. 正しい
温度覚は表在感覚である。
温度覚は皮膚・粘膜の受容器が受け取る感覚で、痛覚・触覚とともに表在感覚に分類される。伝導路は側索を上行する外側脊髄視床路(温痛覚)で、脊髄に入った高さで交叉して反対側を上行する点まで併せて押さえたい。
✗ 2. 誤り
振動覚は脊髄の前索を伝わる。
前索を上行するのは粗大触覚・圧覚を伝える前脊髄視床路であり、温痛覚は側索を上行する外側脊髄視床路が担う。振動覚は深部感覚なので、同側の後索(薄束・楔状束)を上行して延髄の後索核でニューロンを乗り換え、交叉して内側毛帯を上る。前索を通るという記述が誤りである。
✗ 3. 誤り
舌下神経に障害があると味覚が消失する。
舌下神経(Ⅻ)は舌筋を支配する運動性の脳神経で、障害されると舌の運動障害や患側への偏位が生じるが、味覚は保たれる。味覚を伝えるのは舌前2/3が顔面神経(鼓索神経)、舌後1/3が舌咽神経であり、支配神経が別である。
✗ 4. 誤り
足踏み検査で大脳の障害を検出する。
足踏み検査(閉眼のまま同じ場所で足踏みを続けさせる検査)は、身体の平衡を保つ前庭機能を評価するもので、一側の前庭障害があると障害側へ回転・偏倚する。大脳の障害を検出する検査ではない。
ポイント
  • 表在感覚=痛覚・温度覚・触覚(皮膚・粘膜)。深部感覚=位置覚・運動覚・振動覚・深部痛覚(筋・腱・関節)。
  • 温痛覚=外側脊髄視床路で「側索」を上行(入った高さで交叉)。粗大触覚・圧覚=前脊髄視床路で「前索」を上行。両者の総称が前側索系で、前索そのものとは別概念。
  • 深部感覚・識別性触覚=後索(薄束・楔状束)-内側毛帯路。延髄の後索核で乗り換えて交叉する。
  • 味覚は舌前2/3が顔面神経(鼓索神経)、舌後1/3が舌咽神経。舌下神経は舌の運動のみ。
  • 足踏み検査は前庭機能の検査。偏倚する側に前庭障害を疑う。複合感覚(立体覚・二点識別覚・皮膚書字覚)は頭頂葉での統合を要する。
比較表
感覚分類伝導路(走行する索)交叉する場所
温度覚・痛覚表在感覚外側脊髄視床路(側索)脊髄(入った高さで交叉)
触覚(粗大)・圧覚表在感覚前脊髄視床路(前索)脊髄(入った高さで交叉)
振動覚・位置覚・運動覚深部感覚後索-内側毛帯路(後索:薄束・楔状束)延髄(後索核で乗り換えた後)
立体覚・二点識別覚複合感覚後索系+頭頂葉での統合延髄
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