学習トップ理由で解く 柔道整復師一般臨床医学 ▸ §6 診察各論 触診 / QJ30P028

理由で解く 柔道整復師

QJ30P028 一般臨床医学

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午後 問28
問題
圧痛点と疾患の組合せで正しいのはどれか。
選択肢
1 ムンロー点三叉神経痛
2 ボアス点-胃潰瘍
3 オトガイ点・虫垂炎
4 マックバーネ点胆嚢炎
解答
正解2(ボアス点-胃潰瘍)
解説

ボアス点は第10〜12胸椎の左側、背中にあらわれる胃潰瘍の圧痛点です。残る3つは点と疾患の対応が誤っています。

圧痛点は「押すと決まって痛みが出る部位」ですが、成り立ちは一つではなく三つに分けて考えると混乱しません。第一は病巣の真上を押す局所圧痛で、虫垂炎のマックバーネー点・ランツ点・キュンメル点・ムンロー点がこれにあたります。第二は内臓の痛みが同じ脊髄分節に対応する体表へ投影される関連痛で、ボアス点はこの型です。胃の内臓求心線維は交感神経を介しておよそ第6〜9胸髄に入るため、胃潰瘍(とくに後壁の潰瘍)の痛みは心窩部から左の背部にかけて関連痛として投影されます。その圧痛点が体表では第10〜12胸椎の左傍脊柱部にあらわれ、これをボアス点と呼びます。ここで注意したいのは、圧痛点の位置は椎骨(棘突起)の高さで示す体表の目印であって、脊髄分節の番号とは一致しないことです(下位胸椎では脊髄分節は椎骨より数分節上にずれます)。ですから「胃はおよそ第6〜9胸髄」「ボアス点は第10〜12胸椎の高さ」は別の物差しの数字で、どちらもそのまま覚えて構いません。第三は神経幹が骨から出る場所を押す神経圧痛で、三叉神経痛のワレー点(眼窩上点・眼窩下点・オトガイ点)が代表です。この三つの型で分類してから、点の名前と疾患を結びつけていきましょう。

✓ 2. 正しい
ボアス点-胃潰瘍
ボアス点は第10〜12胸椎の左傍脊柱部にある背部の圧痛点で、胃潰瘍に対応します。胃の痛みが同じ脊髄分節に対応する背中の体表に投影される関連痛なので、患者が「背中が痛い」と訴えても胃を疑える、という点が問われています。
✗ 1. 誤り
ムンロー点三叉神経痛
ムンロー(モンロー)点は、臍と右上前腸骨棘を結ぶ線が右腹直筋の外縁と交わる点で、虫垂炎の圧痛点の一つです。三叉神経痛で押すのはワレー点(眼窩上点・眼窩下点・オトガイ点)なので、圧痛点と疾患の組合せが誤りです(ムンロー点は虫垂炎、三叉神経痛はワレー点)。
✗ 3. 誤り
オトガイ点・虫垂炎
オトガイ点はオトガイ孔の部位、すなわち三叉神経第3枝(下顎神経)の枝であるオトガイ神経が骨から出るところで、三叉神経痛のワレー点の一つです。虫垂炎の圧痛点はマックバーネー点・ランツ点・キュンメル点・ムンロー点で、いずれも右下腹部にあります。
✗ 4. 誤り
マックバーネ点胆嚢炎
マックバーネー点は右上前腸骨棘と臍を結ぶ線の外側3分の1の点で、虫垂炎の圧痛点です。胆嚢炎で有名なのはマーフィー徴候で、右季肋部を圧迫したまま息を吸わせると、下降してきた胆嚢が指に当たって痛みのため吸気が止まります。
ポイント
  • ボアス点=胃潰瘍。第10〜12胸椎の左傍脊柱部(椎骨の高さで示す体表の目印)。背中の痛みでも胃の病変を疑える関連痛の代表例。
  • 虫垂炎の圧痛点はマックバーネー点(右上前腸骨棘と臍を結ぶ線の外側1/3)、ランツ点(両上前腸骨棘を結ぶ線の右1/3)、キュンメル点(臍の右下方)、ムンロー点(臍と右上前腸骨棘を結ぶ線と右腹直筋外縁の交点)。右下腹部の点はまず虫垂と結びつける。
  • 三叉神経痛はワレー点。第1枝=眼窩上点、第2枝=眼窩下点、第3枝=オトガイ点。神経が骨から出る孔の上を押している。
  • 胆嚢炎はマーフィー徴候。右季肋部を押しながら吸気させると痛みで息が止まる。
  • 圧痛点は「押して痛い場所=悪い場所」とは限らない。局所圧痛・関連痛・神経圧痛のどれかを考える。腹部で反跳痛や筋性防御、発熱を伴うときは急性腹症を疑い、圧迫を繰り返さず安静を保って速やかに医療機関へつなぐ。
比較表
圧痛点・徴候部位疾患機序
マックバーネー点右上前腸骨棘と臍を結ぶ線の外側1/3虫垂炎病巣直上の局所圧痛
ランツ点左右の上前腸骨棘を結ぶ線の右1/3虫垂炎局所圧痛
ムンロー(モンロー)点臍と右上前腸骨棘を結ぶ線が右腹直筋外縁と交わる点虫垂炎局所圧痛
ボアス点第10〜12胸椎の左傍脊柱部(背部・椎骨の高さで示す)胃潰瘍同じ脊髄分節に対応する体表に出る関連痛
ワレー点(眼窩上点・眼窩下点・オトガイ点)三叉神経第1〜3枝が骨から出る孔の上三叉神経痛神経幹を直接押す神経圧痛
マーフィー徴候右季肋部(胆嚢底の高さ)胆嚢炎吸気で下降した炎症性胆嚢が触れて吸気が止まる
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