学習トップ理由で解く 柔道整復師一般臨床医学 ▸ §6 診察各論 触診 / QJ31P030

理由で解く 柔道整復師

QJ31P030 一般臨床医学

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午後 問30
問題
悪性の皮下腫瘤を触診したときの特徴はどれか。
選択肢
1 圧痛がある。
2 可動性がある。
3 表面が凹凸不整である。
4 表面皮膚に熱感がある。
解答
正解3(表面が凹凸不整である。)
解説

悪性の皮下腫瘤は「硬い・表面が凹凸不整・境界不明瞭・可動性に乏しい」が触診の基本像です。良性はその逆で、平滑・弾性軟〜硬・よく動きます。

悪性腫瘍は被膜に包まれず、周囲の組織へ染み込むように(浸潤性に)不規則な増殖をします。そのため触れると石のように硬く(硬結)、表面はでこぼこで、どこまでが腫瘤かの境目が分かりにくく、皮膚や深部の筋膜・骨に固定されて動かせません。増殖の過程で痛みの受容器が刺激されにくいため、多くは無痛性に進行します。さらに、短期間で増大する、皮膚がひきつれる(陥凹・えくぼ徴候)、皮膚が破れて潰瘍になる、といった変化も悪性を疑うサインです。施術中にこうした腫瘤に気づいたら、大きさ・硬さ・可動性・圧痛の有無・気づいた時期を記録し、経過をみるのではなく速やかに医療機関への受診を勧めることが適切な対応になります。

✗ 1. 誤り
圧痛がある。
圧痛はむしろ炎症(膿瘍・蜂窩織炎・リンパ節炎)や外傷を示唆する所見で、悪性腫瘤は無痛性であることが多いのが特徴です。ただし神経や骨に浸潤すれば痛みが出るため、「痛くないから大丈夫」とも言い切れません。痛みの有無だけで判断せず、硬さ・表面・可動性と合わせて評価します。
✗ 2. 誤り
可動性がある。
よく動く(可動性良好)のは、被膜に包まれ周囲へ浸潤しない良性腫瘤の特徴です。脂肪腫、粉瘤(表皮嚢腫)、ガングリオンなどが代表。悪性では周囲組織へ癒着・固定されるため可動性が乏しくなります。
✓ 3. 正しい
表面が凹凸不整である。
浸潤性に不規則な増殖をするため、表面は凹凸不整、境界は不明瞭、硬さは硬〜石様となります。これが悪性腫瘤の触診所見の中心です。
✗ 4. 誤り
表面皮膚に熱感がある。
局所の熱感・発赤・腫脹・疼痛は急性炎症や感染の四徴です。悪性腫瘤そのものでは通常みられません。熱感を伴う腫瘤では、まず膿瘍や蜂窩織炎などの感染を考えます。
ポイント
  • 悪性の触診像は「硬い・表面凹凸不整・境界不明瞭・可動性不良・無痛性」
  • 良性は「弾性軟〜硬・表面平滑・境界明瞭・可動性良好」
  • 圧痛や熱感は炎症・感染を示唆する所見で、悪性の特徴ではない
  • 急速な増大、皮膚のひきつれ(陥凹)、潰瘍化も悪性を疑うサイン
  • 気づいたら所見を記録し、経過観察にせず速やかに医療機関の受診を勧める
比較表
触診項目良性腫瘤悪性腫瘤
硬さ弾性軟〜弾性硬硬い(石様硬)
表面平滑凹凸不整
境界明瞭不明瞭
可動性良好(よく動く)不良(周囲に固定)
圧痛ないことが多いないことが多い(浸潤すれば出現)
増大速度緩徐比較的速い
皮膚の変化乏しい陥凹・潰瘍・静脈怒張
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