学習トップ理由で解く 柔道整復師一般臨床医学 ▸ §9 診察各論 反射検査 / QJ31P031

理由で解く 柔道整復師

QJ31P031 一般臨床医学

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午後 問31
問題
下肢の深部腱反射が亢進するのはどれか。
選択肢
1 頸髄損傷
2 重症筋無力症
3 筋ジストロフィー
4 ギラン・バレー(Guillain-Barre) 症候群
解答
正解1(頸髄損傷)
解説

深部腱反射の亢進は上位運動ニューロン障害のサインであり、選択肢のうち該当するのは頸髄損傷である。正答は1。

深部腱反射は、筋紡錘→後根→前角細胞→筋という脊髄内の単シナプス反射で、通常は皮質脊髄路などの上位からの抑制を受けている。頸髄損傷のように上位運動ニューロンが障害されるとこの抑制が外れ、損傷レベルより下位の腱反射が亢進し、痙性麻痺・病的反射(バビンスキー徴候)・クローヌスを伴う。一方、反射弓そのものを構成する末梢神経・神経筋接合部・筋が障害される疾患では、反射は低下または消失する。「反射亢進=中枢(上位運動ニューロン)、反射低下・消失=末梢(下位運動ニューロン・筋)」という軸で判断する。

✓ 1. 正しい
頸髄損傷
頸髄は上位運動ニューロンの通路であり、損傷により下肢の腱反射が亢進し痙性麻痺となる。バビンスキー徴候陽性、足クローヌスも伴う。ただし受傷直後は脊髄ショックによりいったん反射が消失し、数日から数週の経過で亢進に転じる点も押さえておく。
✗ 2. 誤り
重症筋無力症
神経筋接合部のアセチルコリン受容体に対する自己抗体による疾患で、易疲労性の筋力低下、眼瞼下垂・複視、症状の日内変動(夕方に悪化)が特徴である。反射弓自体は保たれるため腱反射は通常正常で、亢進はしない。
✗ 3. 誤り
筋ジストロフィー
筋線維そのものが変性する遺伝性疾患(デュシェンヌ型が代表)で、筋力低下と筋萎縮の進行に伴い腱反射は低下から消失に向かう。動揺性歩行、登攀性起立(ガワーズ徴候)、下腿の仮性肥大がみられる。
✗ 4. 誤り
ギラン・バレー(Guillain-Barre) 症候群
先行感染の後に急性発症する末梢神経障害(多くは脱髄型)で、両側対称性に下肢から上行する弛緩性麻痺を示す。腱反射の消失は診断上きわめて重要な所見であり、髄液の蛋白細胞解離を伴う。
ポイント
  • 腱反射亢進=上位運動ニューロン障害(脳・脊髄)。痙性麻痺・病的反射・クローヌスを伴う。
  • 腱反射低下/消失=下位運動ニューロン・末梢神経・筋の障害(弛緩性麻痺)。
  • 頸髄損傷は急性期に脊髄ショックで反射が消失し、その後亢進に転じる。
  • ギラン・バレー症候群は腱反射消失+蛋白細胞解離、筋ジストロフィーは反射低下+ガワーズ徴候。
  • 重症筋無力症は神経筋接合部の障害で、腱反射は保たれ、易疲労性と日内変動が手がかりになる。
比較表
疾患障害部位深部腱反射麻痺の型・特徴
頸髄損傷上位運動ニューロン(脊髄)亢進痙性麻痺、バビンスキー徴候陽性
重症筋無力症神経筋接合部正常易疲労性、眼瞼下垂、日内変動
筋ジストロフィー低下~消失動揺性歩行、ガワーズ徴候
ギラン・バレー症候群末梢神経(脱髄)消失上行性の弛緩性麻痺、蛋白細胞解離
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。