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理由で解く 柔道整復師

QJ33P030 一般臨床医学

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午後 問30
問題
アキレス腱反射が減弱するのはどれか。
選択肢
1 脳梗塞
2 多発性硬化症
3 変形性頸椎症
4 ギラン・バレー(Guillain-Barré)症候群
解答
正解4(ギラン・バレー(Guillain-Barré)症候群)
解説

深部腱反射は「反射弓(末梢側)が壊れれば減弱、錐体路(中枢側)が壊れれば亢進」で整理できます。末梢神経そのものが侵されるギラン・バレー症候群が正答の4です。

腱反射の経路は、腱をたたく→筋紡錘が伸びる→求心性線維→脊髄前角細胞→運動神経→筋が収縮、という単シナプス反射です。アキレス腱反射ではS1(L5〜S2)髄節と脛骨神経がこれを担っています。この反射弓のどこかが断たれる末梢神経障害・下位運動ニューロン障害・後根障害では、信号が伝わらないため反射は減弱または消失します。反対に、脳や脊髄の錐体路(上位運動ニューロン)が障害されると、脊髄の反射弓にかかっていた抑制が外れて反射は亢進し、バビンスキー徴候などの病的反射やクローヌス、痙性麻痺を伴います。本問の選択肢1〜3はいずれも中枢側が舞台なので亢進側、4だけが末梢側の障害です。

✗ 1. 誤り
脳梗塞
脳の錐体路が障害される上位運動ニューロン障害で、麻痺側の腱反射は亢進し、病的反射が陽性となります。発症直後は一過性に反射が低下することがありますが、経過とともに亢進した痙性麻痺へ移行するのが典型で、減弱が続く疾患ではありません。
✗ 2. 誤り
多発性硬化症
脳・脊髄・視神経という中枢神経の脱髄疾患で、時間的にも空間的にも多発する病変が特徴です。脊髄の錐体路が侵されると腱反射は亢進し、痙性歩行を示します。同じ「脱髄」でも、中枢が舞台である点がギラン・バレー症候群との決定的な違いです。
✗ 3. 誤り
変形性頸椎症
加齢による椎間板・椎体・椎間関節の変性で、脊髄が圧迫される頸髄症では病巣より下位の腱反射が亢進するため、アキレス腱反射はむしろ強くなります。神経根が圧迫される頸部神経根症では上肢の腱反射低下や放散痛が出ますが、下肢のS1領域には及びません。
✓ 4. 正しい
ギラン・バレー(Guillain-Barré)症候群
先行する感染(カンピロバクター腸炎や上気道感染など)の1〜3週後に発症する急性の末梢神経障害で、反射弓の末梢側が侵されます。両側対称性に下肢から上行する弛緩性麻痺を示し、早期からアキレス腱反射をはじめとする深部腱反射の減弱・消失が現れるのが特徴です。髄液の蛋白細胞解離が診断の助けになります。進行が速く呼吸筋麻痺に至ることもあるため、疑ったら速やかに医療機関へつなぎます。
ポイント
  • 腱反射は「反射弓が壊れる=減弱・消失/錐体路が壊れる=亢進」で整理する。
  • アキレス腱反射の髄節はS1、担当する末梢神経は脛骨神経。減弱をみたらS1レベルと末梢神経を疑う。
  • 減弱の代表:ギラン・バレー症候群、L5/S1椎間板ヘルニア、糖尿病性多発神経障害、腰部脊柱管狭窄症。
  • 亢進の代表:脳血管障害、多発性硬化症、頸髄症、脊髄損傷の慢性期。病的反射やクローヌスの有無も併せて確認する。
  • 線維束攣縮は脊髄前角細胞障害(ALSなど)に特徴的な所見で、脱髄性のギラン・バレー症候群では通常みられない。「腱反射減弱=すべて線維束攣縮あり」と結び付けない。
  • ギラン・バレー症候群は「先行感染+上行性の弛緩性麻痺+腱反射消失+蛋白細胞解離」。急速に進むため早期受診をすすめる。
比較表
項目上位運動ニューロン障害(錐体路)下位運動ニューロン障害(前角細胞・軸索)末梢神経障害(脱髄性)
深部腱反射亢進減弱〜消失減弱〜消失
麻痺の性質痙性麻痺(筋緊張亢進)弛緩性麻痺(筋緊張低下)弛緩性麻痺(筋緊張低下)
病的反射陽性(バビンスキー徴候など)陰性陰性
筋萎縮目立たない(廃用性のみ)早期から進行する急性期には目立たず、軸索障害が加わると遅れて出る
線維束攣縮なしあり(前角細胞障害=ALSなどに特徴的)通常みられない
代表疾患脳梗塞、多発性硬化症、頸髄症筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄性筋萎縮症、ポリオギラン・バレー症候群、椎間板ヘルニアによる神経根症、末梢神経損傷
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