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理由で解く 柔道整復師

QJ29P030 一般臨床医学

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午後 問30
問題
圧痛のあるリンパ節腫脹がみられるのはどれか。
選択肢
1 リンパ節炎
2 悪性リンパ腫
3 リンパ性白血病
4 癌のリンパ節転移
解答
正解1(リンパ節炎)
解説

リンパ節腫脹は、炎症性なら「痛い・柔らかい・よく動く」、腫瘍性なら「痛くない・硬い・動きにくい」と大きく分かれる。圧痛を伴うのは炎症性であるリンパ節炎である。

リンパ節は流入するリンパ液の関所であり、腫れる理由は大きく二つある。一つは細菌やウイルスに反応してリンパ球が急速に増殖する炎症性の腫脹で、この場合は被膜が短期間で急に伸展され、局所には発赤・熱感・浮腫といった炎症所見も加わるため、圧迫すると痛みが出る。もう一つは腫瘍細胞が置き換わって増える腫瘍性の腫脹で、こちらは月単位でゆっくり大きくなるため被膜が急に引き伸ばされず、痛みを伴わないのが原則である。したがって「無痛性・硬い・可動性不良のリンパ節腫脹」は悪性を疑うサインとして重視される。柔道整復の現場でも、頸部などに無痛性で硬いしこりを触れた場合は施術で様子をみるのではなく、早期に医療機関への受診を勧めることが適切な対応となる。

✓ 1. 正しい
リンパ節炎
感染などに反応してリンパ球が急速に増殖し、被膜が短期間で伸展されるうえ局所炎症も加わるため、圧痛・自発痛を伴う。弾性軟で可動性がよく、発赤・熱感を伴うこともあり、原因が治まれば縮小するのが典型的な経過である。
✗ 2. 誤り
悪性リンパ腫
リンパ球系細胞が腫瘍化して緩徐に増殖するため、無痛性でゴム様硬のリンパ節腫脹となる。発熱・盗汗・体重減少といったB症状を伴うことがあり、痛みがないことがかえって発見を遅らせる点に注意する。
✗ 3. 誤り
リンパ性白血病
腫瘍化したリンパ球が全身に浸潤するため、無痛性の全身性リンパ節腫脹に肝脾腫を伴う。加えて正常造血が抑えられ、貧血・易感染性・出血傾向といった汎血球減少の症状が前面に出る。
✗ 4. 誤り
癌のリンパ節転移
癌細胞がリンパ節内で増殖し、被膜を越えて周囲組織に浸潤するため、無痛性で石のように硬く、可動性の乏しい(周囲に固着した)腫脹となる。左鎖骨上窩に触れるウィルヒョウ転移が代表例である。
ポイント
  • 圧痛を伴うリンパ節腫脹=炎症性(リンパ節炎)。急速な被膜伸展+局所炎症が痛みの正体。
  • 腫瘍性(悪性リンパ腫・白血病・癌転移)は緩徐に増大するため無痛性が原則。
  • 硬さと可動性:炎症性=弾性軟・可動性良好/悪性リンパ腫=ゴム様硬/癌転移=石様硬・可動性不良。
  • 癌のリンパ節転移では周囲組織への固着がみられる。左鎖骨上窩=ウィルヒョウ転移。
  • 無痛性・硬い・動かないリンパ節を触れたら、経過観察でなく早期の医療機関受診を勧める。
比較表
病態圧痛硬さ可動性随伴所見
リンパ節炎あり弾性軟良好発赤・熱感、感染の先行
悪性リンパ腫なしゴム様硬比較的良好発熱・盗汗・体重減少(B症状)
リンパ性白血病なしやや軟〜弾性硬良好全身性腫脹、肝脾腫、汎血球減少
癌のリンパ節転移なし石様硬不良(周囲に固着)原発巣の症状、ウィルヒョウ転移
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