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理由で解く 柔道整復師

QJ30P010 衛生学・公衆衛生学

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午後 問10
問題
手指の消毒で正しいのはどれか。
選択肢
1 最初にブラシで擦る。
2 流水による手洗いでは温水より冷水の方がよい。
3 術前の手洗いは指先から各指、手掌の順で洗う。
4 速乾性擦式消毒薬は 30秒以上かけて手にすり込む。
解答
正解4(速乾性擦式消毒薬は 30秒以上かけて手にすり込む。)
解説

速乾性擦式消毒薬は、十分な量を取って乾くまで(おおむね30秒以上)すり込むことで初めて効果が出る。正答は4。

手指衛生は、日常的手洗い(石けんと流水)、衛生学的手洗い(消毒薬を加えて通過菌を除く)、手術時手洗い(常在菌まで減らす)の3段階に整理される。共通する原則は、まず流水と石けんで汚れと通過菌を物理的に洗い流し、そのうえで消毒薬を十分な時間作用させることである。ただし洗う順序は区分によって異なり、衛生学的手洗いと手術時手洗いを取り違えないことが重要になる。衛生学的手洗いやアルコール擦式消毒では、およそ3mLを手に取り、手掌・手背・指間・母指・指先・手首の順にこすり込む。量が少ないと途中で乾いてしまい接触時間が足りなくなるため、「乾くまでこすり続けられる量を取る」ことが実務上の要点になる。目に見える汚れや粉状の付着があるときは、擦式消毒だけで済ませず流水と石けんによる手洗いを行う。

✓ 4. 正しい
速乾性擦式消毒薬は 30秒以上かけて手にすり込む。
アルコールの殺菌には一定の接触時間が必要で、時間が短いと効果が十分に得られない。十分量を取り、乾燥するまで(目安として30秒以上)手指全体にすり込むことで、洗い残しやすい指先・母指・指間・手首まで薬液が行き渡る。塗り広げて終わりにせず、乾くまで擦り続ける習慣をつくることが大切。
✗ 1. 誤り
最初にブラシで擦る。
強いブラッシングは皮膚に微細な傷をつくり、そこが細菌の温床になったり手荒れを招いたりする。現在は流水と石けんによる揉み洗いから始めるのが基本で、ブラシは爪の周囲など必要な部位に限って穏やかに用いる。手荒れの予防そのものが感染対策になるため、洗浄後の保湿もあわせて行う。
✗ 2. 誤り
流水による手洗いでは温水より冷水の方がよい。
皮脂や汚れは冷水より温水のほうが落ちやすいため、微温湯を使うのが望ましい。ただし熱すぎる湯は皮脂を奪って皮膚を荒らし、かえって細菌が定着しやすくなるので、体温よりやや高い程度のぬるま湯を選ぶとよい。
✗ 3. 誤り
術前の手洗いは指先から各指、手掌の順で洗う。
手洗いの順序は区分によって異なるので、二段構えで整理する。(a)衛生学的手洗い(日常の手洗い・擦式消毒)では、手掌をこすり合わせることから始め、手背、指間、母指、指先(爪)、手首の順に進む。(b)手術時手洗い(サージカルスクラブ)では、指先・爪から洗い始め、手掌・手背、手首、前腕、肘の手前へと末梢から中枢へ一方向に進めるのが標準であり、洗浄中も洗浄後も手指を肘より高く保って、汚れた水が指先に戻らないようにする。したがって、術前の手洗いを「指先から」始めること自体は誤りではない。本選択肢が誤りとされるのは、順序が「手掌」で終わっていて、手術時手洗いに不可欠な手首・前腕・肘の手前までが含まれておらず、衛生学的手洗いの手技と混同させる記述になっているためである。
ポイント
  • 速乾性擦式消毒薬は十分量(約3mL)を取り、乾燥するまで30秒以上すり込む
  • 手洗いは石けんと流水による揉み洗いから始める。ブラシによる強い擦過は皮膚を傷める
  • 冷水より微温湯のほうが皮脂・汚れが落ちやすい。熱湯は手荒れの原因になる
  • 衛生学的手洗い(日常・擦式消毒)で洗う順序は手掌→手背→指間→母指→指先(爪)→手首
  • 手術時手洗いは指先・爪→手掌・手背→手首→前腕→肘の手前と、末梢から中枢へ一方向に進め、手指は肘より高く保つ
  • 目に見える汚れがあるときは擦式消毒だけで終わらせず、流水と石けんで洗う
比較表
区分目的方法・洗う順序対象となる菌
日常的手洗い汚れと一部の通過菌の除去石けんと流水通過菌の一部
衛生学的手洗い通過菌の確実な除去石けんと流水+消毒薬、または擦式消毒薬。手掌→手背→指間→母指→指先(爪)→手首通過菌
手術時手洗い通過菌の除去と常在菌の減少指先・爪→手掌・手背→手首→前腕→肘の手前と末梢から中枢へ。持続効果のある消毒薬を用い、手指は肘より高く保つ通過菌+常在菌
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