学習トップ理由で解く 柔道整復師衛生学・公衆衛生学 ▸ §4 消毒 / QJ31P009

理由で解く 柔道整復師

QJ31P009 衛生学・公衆衛生学

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午後 問9
問題
消毒用エタノールで誤っているのはどれか。
選択肢
1 結核菌に有効である。
2 金属器具の消毒に用いる。
3 予防接種部位の消毒に用いる。
4 排泄物による汚染物の消毒に用いる。
解答
正解4(排泄物による汚染物の消毒に用いる。)
解説

誤っている記述を選ぶ問題です。消毒用エタノールは有機物が付着していると効果が大きく落ちるため、排泄物で汚染された物の消毒には適さず、4が答えになります。

消毒用エタノール(濃度およそ76.9〜81.4vol%)は中水準消毒薬で、一般細菌、結核菌、真菌、そしてエンベロープをもつウイルス(インフルエンザ、ヘルペス、コロナなど)に有効です。作用機序は蛋白の変性と脂質の溶解で、水分がないと蛋白変性が起こりにくいため、無水エタノールより水を含む消毒用エタノールのほうが殺菌力が高い、という点も理屈で押さえておきたいところです。一方、芽胞(破傷風菌、クロストリジオイデス・ディフィシルなど)には無効で、エンベロープをもたないノロウイルス・ロタウイルス・アデノウイルスにも効きにくいという弱点があります。さらに、血液・膿・便などの有機物(蛋白質)が付着していると、表面の蛋白が凝固して膜となり、内部の微生物まで薬剤が届かず効果が著しく低下します。排泄物や吐物で汚染された物品では、まず有機物を拭き取って除去したうえで、次亜塩素酸ナトリウム(0.1%=1000ppm程度)に浸漬するか、熱水消毒を行うのが基本の対応です。

✓ 4. これが答え(誤っている記述)
排泄物による汚染物の消毒に用いる。
排泄物は有機物を大量に含むため、エタノールの効果が大きく損なわれます。加えて、便を介して伝播するノロウイルスなどの非エンベロープウイルスや芽胞にはそもそも無効です。この場面では、有機物を除去したうえで次亜塩素酸ナトリウムを用いるか、熱水消毒を選びます。
✗ 1. 答えではない(正しい記述)
結核菌に有効である。
結核菌は脂質(ミコール酸)に富む細胞壁をもち多くの消毒薬が効きにくいのですが、アルコールは脂質を溶かして作用するため有効です。エタノールが「中水準」に分類される根拠のひとつが、この抗酸菌への有効性です。正しい記述です。
✗ 2. 答えではない(正しい記述)
金属器具の消毒に用いる。
エタノールは金属を腐食させにくく、揮発して速やかに乾くため、鑷子・剪刀・聴診器などの金属器具の清拭消毒に適します。次亜塩素酸ナトリウムは金属を腐食するので器具には使いにくく、この対比がそのまま使い分けの根拠になります。正しい記述です。
✗ 3. 答えではない(正しい記述)
予防接種部位の消毒に用いる。
皮膚への刺激が少なく即効性があるため、注射・採血・予防接種前の皮膚消毒の標準として用いられています。塗布後に乾燥させてから穿刺すると殺菌効果が確実になります。アルコール過敏の既往がある場合は、ポビドンヨードなど他剤に変更します。正しい記述です。
ポイント
  • 設問は「誤っているのはどれか」。3つは正しい使い方で、当てはまらない1つを探す
  • 消毒用エタノール(約77〜81vol%)は中水準消毒薬。一般細菌・結核菌・真菌・エンベロープウイルスに有効
  • 無効なのは芽胞と非エンベロープウイルス(ノロ、ロタ、アデノ)。ここが最大の弱点
  • 有機物(血液・膿・便)があると蛋白が凝固して薬剤が届かず、効果が大きく低下する
  • 排泄物・吐物の汚染 → 有機物を除去してから次亜塩素酸ナトリウム0.1%(1000ppm)または熱水消毒
  • 金属器具にはエタノールが向き、次亜塩素酸ナトリウムは腐食するため不向き。逆に粘膜にはエタノールを使わない
比較表
水準代表的な薬剤芽胞結核菌非エンベロープウイルス主な用途
高水準グルタラール、過酢酸有効(長時間)有効有効内視鏡など熱に弱い器具
中水準消毒用エタノール無効有効効きにくい皮膚、金属器具、環境の清拭
中水準次亜塩素酸ナトリウム効果あり(高濃度)有効有効排泄物・吐物の汚染、リネン、環境
中水準ポビドンヨード無効有効有効皮膚・粘膜、手術部位、含嗽
低水準ベンザルコニウム塩化物、クロルヘキシジン無効無効無効手指、皮膚、環境
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。