学習トップ理由で解く 柔道整復師衛生学・公衆衛生学 ▸ §4 消毒 / QJ31P010

理由で解く 柔道整復師

QJ31P010 衛生学・公衆衛生学

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午後 問10
問題
スタンダードプリコーションにおいて、感染性微生物を含んでいるものとして処理するのはどれか。
選択肢
1 病室のテレビ
2 未使用の注射針
3 患者の膿が付着したリネン
4 医療者の汗を拭いたタオル
解答
正解3(患者の膿が付着したリネン)
解説

標準予防策では、汗を除くすべての体液・分泌物・排泄物を感染性ありとみなして扱います。選択肢のうち該当するのは、膿の付着したリネンです。

スタンダードプリコーション(標準予防策)は、感染症の有無が分かっているかどうかにかかわらず、すべての患者に等しく適用する感染対策の土台です。対象となるのは、血液、すべての体液・分泌物・排泄物(汗は除く)、粘膜、そして健常でない皮膚(創部)で、これらを感染性微生物を含むものとみなして、手指衛生、手袋・ガウン・マスク・ゴーグルの適切な選択、器具とリネンの適正な取り扱い、鋭利器材の安全な処理、環境整備を行います。汗が例外として除かれているのは、汗そのものを介して伝播する病原体が知られていないためです。この考え方の背景には、感染症と判明した患者だけを警戒する方式では、診断がついていない保菌者からの伝播を防げないという反省があります。特定の感染経路をもつ病原体に対しては、標準予防策の上に接触・飛沫・空気の感染経路別予防策を追加します。

✓ 3. 正しい
患者の膿が付着したリネン
膿は創部からの滲出物であり、標準予防策が対象とする体液・分泌物そのものです。手袋とガウンを着用して回収し、周囲に飛散させないよう袋に密閉して運搬し、外したあとに手指衛生を行います。
✗ 1. 誤り
病室のテレビ
血液や体液が付着していない環境表面は、標準予防策のいう「感染性微生物を含むもの」としては扱いません。ただし手指が高頻度に触れる場所(高頻度接触面)として、定期的な清掃・清拭の対象にはなります。
✗ 2. 誤り
未使用の注射針
患者の血液・体液に触れていないため汚染されていません。一方、使用済みの針は血液で汚染された鋭利器材となるので、リキャップせず、その場で耐貫通性の専用容器に直接廃棄します。針刺し事故の防止は標準予防策の中核です。
✗ 4. 誤り
医療者の汗を拭いたタオル
汗は標準予防策の対象から明示的に除外されている体液です。加えて、標準予防策で扱うのは患者由来の血液・体液等であり、医療者自身の汗はその対象ではありません。「汗は除く」という例外はほぼ毎回問われるので、確実に押さえておきましょう。
ポイント
  • 標準予防策の対象は、血液・すべての体液・分泌物・排泄物(汗は除く)・粘膜・健常でない皮膚
  • 汗が除かれるのは、汗を介して伝播する病原体が知られていないため。この一点で正誤が決まる問題が多い
  • 診断の有無にかかわらず「すべての患者」に適用するのが標準予防策。診断がついていない保菌者からの伝播を防ぐための設計
  • 実施内容は手指衛生、個人防護具の適切な選択、器具・リネンの取り扱い、鋭利器材の安全処理、環境整備、呼吸器衛生・咳エチケット
  • 感染経路別予防策(接触・飛沫・空気)は標準予防策に「上乗せ」して行う
  • 使用済み針はリキャップせず耐貫通性容器へ直接廃棄する
比較表
予防策対象主な内容該当する病原体の例
標準予防策すべての患者手指衛生、手袋・ガウン・マスク・ゴーグル、鋭利器材の安全処理診断の有無を問わずすべて
接触予防策接触で伝播する病原体手袋・ガウン、個室または集団隔離、器具の専用化MRSA、ノロウイルス、疥癬、クロストリジオイデス・ディフィシル
飛沫予防策飛沫(約1〜2m)で伝播サージカルマスク、個室または一定の距離の確保インフルエンザ、風疹、流行性耳下腺炎、百日咳
空気予防策飛沫核で長距離伝播N95マスク、陰圧個室結核、麻疹、水痘
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。