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理由で解く 柔道整復師

QJ31P008 衛生学・公衆衛生学

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午後 問8
問題
予防接種で誤っているのはどれか。
選択肢
1 インフォームド・コンセントが行われる。
2 A類疾病は集団予防目的に比重が置かれている。
3 痘瘡(天然痘)は予防接種によって根絶された。
4 不活化ワクチンは生きた病原性微生物を弱毒化している。
解答
正解4(不活化ワクチンは生きた病原性微生物を弱毒化している。)
解説

誤っている記述を選ぶ問題です。4は生ワクチンの説明であり、不活化ワクチンは感染性をなくした病原体やその成分を用いるので、これが答えになります。

ワクチンは製法によって大きく3つに分けられます。生ワクチンは病原体を弱毒化して生かしたまま接種するもので(BCG、麻疹風疹混合、水痘、ムンプス、ロタなど)、自然感染に近い強い免疫が長く続く反面、まれに副反応として軽い発症をきたすことがあり、妊婦や免疫不全者には原則禁忌です。不活化ワクチンは加熱やホルマリンなどで病原体を殺して感染性を失わせたもの、あるいは有効成分だけを取り出したもので(四種混合〈令和6年4月からHibを加えた五種混合に移行〉、日本脳炎、インフルエンザ、B型肝炎、肺炎球菌など)、体内で増殖しないため安全性は高い一方、免疫の立ち上がりが弱く複数回接種と追加接種が必要になります。トキソイドは細菌の産生する毒素を無毒化したもので、ジフテリアと破傷風が代表です。「生きているか、殺してあるか」という一点で二分し、そこから接種回数や禁忌の違いを導けるようにしておくと確実です。

✓ 4. これが答え(誤っている記述)
不活化ワクチンは生きた病原性微生物を弱毒化している。
病原体を生かしたまま毒性だけ弱めるのは生ワクチンの製法です。不活化ワクチンは病原体を殺して感染性を失わせてあるため体内で増殖せず、その結果として免疫の持続が短く追加接種を要する一方、免疫不全者にも接種できるという性質につながります。製法の違いが臨床上の扱いの違いを生む、という筋道で理解しておきましょう。
✗ 1. 答えではない(正しい記述)
インフォームド・コンセントが行われる。
予防接種は、予診票を用いて効果と副反応、接種後の注意を説明し、被接種者本人または保護者の同意を得たうえで実施します。定期接種のA類疾病であっても位置づけは「努力義務」であり、強制ではありません。したがって正しい記述で、この問いの答えにはなりません。
✗ 2. 答えではない(正しい記述)
A類疾病は集団予防目的に比重が置かれている。
A類疾病(ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ、麻疹、風疹、日本脳炎、結核、Hib感染症、小児の肺炎球菌感染症、HPV感染症、水痘、B型肝炎、ロタウイルス感染症)は、集団予防と重篤な疾患の予防に比重を置き、接種の努力義務があり費用は公費負担が原則です。これと対になるのが個人予防に比重を置くB類疾病で、出題年の2023年(令和5年)時点では高齢者のインフルエンザと高齢者の肺炎球菌感染症の2疾病でした(その後、令和6年度から新型コロナウイルス感染症〈高齢者〉、令和7年4月1日から帯状疱疹が追加されています)。いずれにせよ選択肢の記述自体は正しく、答えにはなりません。
✗ 3. 答えではない(正しい記述)
痘瘡(天然痘)は予防接種によって根絶された。
種痘の世界的な展開により、1977年のソマリアの患者を最後に自然発生が途絶え、WHOは1980年に世界根絶を宣言しました。宿主がヒトに限られること、不顕性感染がほとんどないこと、有効なワクチンがあったことという条件がそろって初めて実現した、感染症対策の到達点です。正しい記述です。
ポイント
  • 設問は「誤っているのはどれか」。正しい記述3つの中から、内容が食い違う1つを探す形式であることをまず確認する
  • 生ワクチン=生かして弱毒化。強く長い免疫、接種回数が少ない、妊婦・免疫不全者に原則禁忌(BCG、麻疹風疹混合、水痘、ムンプス、ロタ)
  • 不活化ワクチン=殺して感染性なし。複数回接種+追加接種が必要(四種混合〈令和6年4月からHibを加えた五種混合=DPT-IPV-Hibへ移行〉、日本脳炎、インフルエンザ、B型肝炎、肺炎球菌)
  • トキソイド=毒素を無毒化。ジフテリア、破傷風
  • A類疾病=集団予防に比重、努力義務あり、公費負担/B類疾病=個人予防に比重。B類は出題年(2023年)時点では高齢者のインフルエンザ・高齢者の肺炎球菌感染症の2疾病で、令和6年度に新型コロナウイルス感染症(高齢者)、令和7年4月に帯状疱疹が加わっている
  • 根絶に成功したのは痘瘡(1980年WHO宣言)のみ。ポリオは根絶に向けた取り組みが継続中
比較表
生ワクチン不活化ワクチントキソイド
病原体の状態生きたまま弱毒化殺菌・不活化して感染性なし毒素を無毒化
免疫の強さ・持続強く長い弱く短い弱く短い
接種回数少なくて済む複数回+追加接種複数回+追加接種
免疫不全者・妊婦原則禁忌接種可能接種可能
代表例BCG、麻疹風疹混合、水痘、ムンプス、ロタ四種混合(現在は五種混合)、日本脳炎、インフルエンザ、B型肝炎、肺炎球菌ジフテリア、破傷風
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