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理由で解く 柔道整復師

QJ30P009 衛生学・公衆衛生学

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午後 問9
問題
金属器具に使用できない消毒薬はどれか。
選択肢
1 クロルヘキシジン
2 グルタラール
3 消毒用エタノール
4 次亜塩素酸ナトリウム
解答
正解4(次亜塩素酸ナトリウム)
解説

次亜塩素酸ナトリウムは金属を腐食させるため、金属器具の消毒には用いない。正答は4。

消毒薬は、微生物への効力の水準(高水準・中水準・低水準)と、対象となる材質への影響の2つの軸で選ぶ。高水準消毒薬は芽胞を含むほとんどすべての微生物に有効、中水準消毒薬は芽胞を除く微生物(結核菌を含む)に有効、低水準消毒薬は一般細菌など限られた範囲に有効、というのが分類の定義である。次亜塩素酸ナトリウムは中水準に分類され、アルコールが効きにくいノロウイルスやB型肝炎ウイルスにも有効という大きな強みをもつが、金属を錆びさせ、有機物に触れると急速に失活し、繊維を脱色するという弱点がある。そのため用途は環境表面の清拭、排泄物・吐物の処理、リネンの漂白などに向き、金属製の器具にはグルタラールなどのアルデヒド系、消毒用エタノール、クロルヘキシジンを選ぶ。なお金属器具については、可能な限り消毒ではなく高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)による滅菌を第一に考え、熱に耐えられない器具に限って薬液を用いるという順序で判断する。

✓ 4. 使用できない(これが正答)
次亜塩素酸ナトリウム
金属腐食性が強く、金属器具に用いると錆びや変質を招くため適さない。強みはアルコールが効きにくいノロウイルスやB型肝炎ウイルスにも有効な点にあり、吐物・排泄物の処理や環境表面、リネンの消毒で真価を発揮する。芽胞については、環境消毒で用いる通常の使用濃度(0.02〜0.1%)では無効であり、高濃度で長時間作用させた場合に限り殺芽胞作用を示すとされる。したがって「芽胞に確実に有効な消毒薬」を問われたらグルタラールや過酢酸を選び、次亜塩素酸ナトリウムは選ばない。有機物で失活するので、汚染物はまず拭き取ってから薬液を作用させる。
✗ 1. 使用できる(正答ではない)
クロルヘキシジン
低水準消毒薬で、金属腐食性は低く器具にも使える。手指・皮膚の消毒に広く用いられ、皮膚に残留して持続的に効くのが特徴。ただし芽胞や結核菌には無効で、粘膜に用いるとショックの報告があるため、粘膜や創部には別の薬剤を選ぶ。
✗ 2. 使用できる(正答ではない)
グルタラール
高水準消毒薬で芽胞にも有効。熱に弱く滅菌できない内視鏡や金属器具の浸漬消毒に用いられる、まさに器具向けの薬剤である。人体には使えず、蒸気が眼や気道を強く刺激するため、専用容器・十分な換気・手袋やゴーグルの着用を徹底して扱う。
✗ 3. 使用できる(正答ではない)
消毒用エタノール
中水準消毒薬で、速効性があり乾燥後に残留しないため、金属器具や手指の消毒に適する。濃度は76.9〜81.4vol%が有効で、無水では効果が落ちる(水がタンパク変性を助けるため)。芽胞やノロウイルスには効きにくく、引火性があるので火気と保管に注意する。
ポイント
  • 次亜塩素酸ナトリウムは金属腐食性・脱色性・有機物による失活が弱点。金属器具には用いない
  • その代わりノロウイルスやB型肝炎ウイルスに有効。吐物・排泄物処理や環境表面が主戦場
  • 次亜塩素酸ナトリウムは中水準消毒薬。通常の使用濃度(0.02〜0.1%)では芽胞に無効で、高濃度・長時間作用時に限り一部効果を示す
  • 芽胞に確実に有効なのはグルタラール・過酢酸などの高水準消毒薬。ただし人体には使えず、換気と防護具が必須
  • 金属器具の薬液消毒にはグルタラール(高水準)、消毒用エタノール、クロルヘキシジンを選ぶ
  • 耐熱性のある金属器具は、薬液消毒より高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)を優先する
比較表
消毒薬水準金属器具芽胞主な用途・注意
グルタラール高水準有効内視鏡等の浸漬。人体不可、換気必須
次亜塩素酸ナトリウム中水準不可(腐食)無効(高濃度・長時間で一部有効)環境・吐物・リネン。有機物で失活、脱色
消毒用エタノール中水準無効手指・器具。速効性、引火性に注意
クロルヘキシジン低水準無効手指・皮膚。粘膜への使用は避ける
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