学習トップ理由で解く 柔道整復師病理学概論 ▸ §7 炎症 / QJ30A124

理由で解く 柔道整復師

QJ30A124 病理学概論

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午前 問124
問題
炎症のケミカルメディエーターで誤っているのはどれか。
選択肢
1 レニン
2 セロトニン
3 ヒスタミン
4 プロスタグランジン
解答
正解1(レニン)
解説

レニンは腎の傍糸球体細胞から分泌される血圧・体液量の調節にかかわる酵素で、炎症のケミカルメディエーターではない。答えは1。

ケミカルメディエーターとは、炎症の局所で血管拡張・血管透過性亢進・白血球の遊走・疼痛・発熱を引き起こす化学物質の総称である。由来で二つに分けると理解しやすい。細胞由来のものには、肥満細胞・好塩基球のヒスタミン、血小板や肥満細胞のセロトニン、細胞膜リン脂質から作られるプロスタグランジンやロイコトリエン、マクロファージなどが出すサイトカイン(IL-1、TNF-α)がある。血漿由来のものには補体(C3a、C5a)、キニン系のブラジキニン、凝固・線溶系が含まれる。一方レニンは、血圧低下や遠位尿細管でのNa減少を感知した傍糸球体装置から分泌され、アンジオテンシノーゲンをアンジオテンシンIに変換する。レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系は循環血液量と血圧を保つ調節系であって、炎症局所の反応を直接起こすものではない。なお非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)がシクロオキシゲナーゼを阻害してプロスタグランジン産生を抑えるため鎮痛・解熱が得られる、という薬理との接点も合わせて押さえておきたい。

✓ 1. これが答え(メディエーターではない)
レニン
腎の傍糸球体細胞から分泌され、アンジオテンシノーゲンをアンジオテンシンIに変える酵素。血圧と体液量を調節するRAA系の起点であり、炎症局所の血管反応や白血球遊走を担う物質ではない。
✗ 2. ケミカルメディエーターである(答えではない)
セロトニン
血小板の顆粒や肥満細胞に含まれ、放出されると血管の収縮や透過性の亢進を起こす。炎症・止血の局所で働く伝達物質である。
✗ 3. ケミカルメディエーターである(答えではない)
ヒスタミン
肥満細胞・好塩基球の顆粒に蓄えられ、急性炎症の最初期に細動脈を拡張させ細静脈の透過性を高める代表格。発赤・腫脹・膨疹の直接の担い手。
✗ 4. ケミカルメディエーターである(答えではない)
プロスタグランジン
細胞膜のアラキドン酸からシクロオキシゲナーゼによって作られ、血管拡張、発痛の増強、発熱を起こす。NSAIDsはこの産生を抑えることで効果を発揮する。
ポイント
  • ケミカルメディエーターは「細胞由来」と「血漿由来」に分けて覚える。
  • 細胞由来=ヒスタミン、セロトニン、プロスタグランジン、ロイコトリエン、サイトカイン(IL-1、TNF-α)。
  • 血漿由来=補体C3a・C5a、ブラジキニン(キニン系)、凝固・線溶系の因子。
  • レニンはRAA系の酵素で血圧・体液量の調節役。炎症の場で働く物質ではない。
  • NSAIDsはCOXを阻害してプロスタグランジンを減らし、鎮痛・解熱・抗炎症作用を示す。
比較表
由来物質主な作用
肥満細胞・好塩基球ヒスタミン細動脈の拡張、細静脈の透過性亢進
血小板・肥満細胞セロトニン血管収縮、透過性亢進
細胞膜リン脂質プロスタグランジン、ロイコトリエン血管拡張、発痛の増強、発熱、白血球遊走
マクロファージなどIL-1、TNF-α発熱、急性期蛋白の誘導、接着分子の発現
血漿(補体系)C3a、C5a肥満細胞の脱顆粒、好中球の遊走
血漿(キニン系)ブラジキニン血管拡張、透過性亢進、疼痛
腎(傍糸球体細胞)レニン血圧・体液量の調節(炎症のメディエーターではない)
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。