学習トップ理由で解く 柔道整復師運動学 ▸ §4 頭・頸部、四肢と体幹の運動(筋の作用および神経支配を含む) / QJ30A111

理由で解く 柔道整復師

QJ30A111 運動学

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午前 問111
問題
縫工筋の股関節に対する作用で誤っているのはどれか。
選択肢
1 屈曲
2 外転
3 内転
4 外旋
解答
正解3(内転)
解説

この設問は「誤っているもの」を選ぶ問題です。以下では、縫工筋の作用として正しい選択肢に✗、設問の答え(作用に当てはまらないもの)に✓を付けています。縫工筋は股関節を屈曲・外転・外旋させ、膝関節を屈曲・内旋させる筋なので、股関節の作用に当てはまらない「内転」が答えになります。

縫工筋は上前腸骨棘(ASIS)から起こり、大腿前面を内下方へたすき掛けのように斜走して、脛骨粗面の内側(鵞足)に停止する人体で最も長い筋です。起始が股関節の運動軸より前方かつ外側にあるため、股関節では屈曲・外転・外旋に働きます。一方、停止が膝関節軸の後方かつ内側にあるため、膝では屈曲と、屈曲位での内旋に働きます。これらをすべて同時に取った肢位が「あぐら」で、まさに名前の由来である仕立て屋の座り方そのものです。走行を一度イメージできれば、5つの作用を丸暗記せずに引き出せます。支配は大腿神経で、股関節を屈曲・外旋しながら膝を曲げてもらうと収縮する腹(ふくらみ)を大腿前内側にたどることができます。

✗ 1. 設問の答えではない(縫工筋の作用として正しい)
屈曲
起始のASISが股関節の運動軸より前方にあるため、収縮すると大腿を前へ振り出します。腸腰筋・大腿直筋とともに股関節屈筋として働きます。
✗ 2. 設問の答えではない(縫工筋の作用として正しい)
外転
起始が股関節の運動軸より外側(前外方)にあるため、外転方向にも作用します。中殿筋のような主働筋ではありませんが、補助的に関与します。
✓ 3. これが答え(縫工筋の作用に当てはまらないもの)
内転
股関節の内転は、恥骨・坐骨から起こって大腿骨内側につく内転筋群(大内転筋・長内転筋・短内転筋・薄筋・恥骨筋)の作用です。ASISから前外側を通る縫工筋の走行では内転は生み出せないため、これが設問の求める選択肢になります。
✗ 4. 設問の答えではない(縫工筋の作用として正しい)
外旋
大腿前面を外上方から内下方へ斜めに走るため、収縮すると大腿が外向きに回ります。屈曲・外転と合わさって「あぐら」の肢位を作ります。
ポイント
  • 縫工筋:上前腸骨棘 → 脛骨粗面内側(鵞足)。人体で最も長い筋、大腿神経支配
  • 股関節では屈曲・外転・外旋、膝関節では屈曲・内旋(二関節筋)
  • 5つの作用は「あぐら(仕立て屋座り)を作る筋」とまとめて覚える
  • 股関節の内転は内転筋群(大・長・短内転筋、薄筋、恥骨筋)で、主に閉鎖神経支配
  • 鵞足は縫工筋・薄筋・半腱様筋の3腱。3筋とも膝の屈曲と内旋に働く
比較表
鵞足を作る筋起始股関節での作用膝関節での作用支配神経
縫工筋上前腸骨棘屈曲・外転・外旋屈曲・内旋大腿神経
薄筋恥骨下枝内転・屈曲屈曲・内旋閉鎖神経
半腱様筋坐骨結節伸展屈曲・内旋坐骨神経(脛骨神経部)
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