学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §9 内分泌 / QJ30A101

理由で解く 柔道整復師

QJ30A101 生理学

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午前 問101
問題
食前と比べて食後60分に血液中の値が低下するのはどれか。
選択肢
1 血糖
2 尿素窒素
3 インスリン
4 グルカゴン
解答
正解4(グルカゴン)
解説

食後は消化管から吸収されたブドウ糖で血糖が上がり、それに応じてインスリンが増える。逆に「血糖を上げるためのホルモン」であるグルカゴンは出番がなくなり、分泌が抑えられる。したがって食後60分に低下するのはグルカゴンである。

膵臓のランゲルハンス島では、B(β)細胞が血中ブドウ糖濃度の上昇そのものを刺激としてインスリンを分泌し、A(α)細胞は血糖が下がったときにグルカゴンを分泌する。この2つは同じ膵島から互いに逆向きに働くペアで、食後(吸収期)は「インスリン↑・グルカゴン↓」、空腹時・絶食時は「インスリン↓・グルカゴン↑」という組み合わせになる。インスリンは肝臓・骨格筋・脂肪組織にブドウ糖を取り込ませ、グリコーゲンや中性脂肪として蓄えさせる同化のホルモンであり、グルカゴンは肝臓のグリコーゲン分解と糖新生を進めて血糖を保つ異化のホルモンである。食後60分はちょうど吸収の最中で血糖がピークに近づく時期であり、血糖を上げる必要がないためグルカゴンは低く抑えられる。「食べたあと、体は何を蓄え、何をやめるか」で考えると迷わない。

✓ 4. 正しい
グルカゴン
血糖が十分にある状況ではA(α)細胞への分泌刺激がなくなり、さらに上昇したインスリン自体もグルカゴン分泌を抑える方向に働く。血糖を上げる必要がない食後には分泌が低下するため、4つの中で唯一「食前より食後60分で低い」値となる。
✗ 1. 誤り
血糖
食物中の糖質は小腸で単糖まで分解されて吸収され、門脈から血中へ入る。健常者では食後30〜60分に血糖が最も高くなるため、この時期はむしろ上昇している。
✗ 2. 誤り
尿素窒素
尿素窒素(BUN)はタンパク質が分解されて生じたアンモニアを肝臓が尿素回路で無毒化したもので、腎臓から排泄される。1回の食事で1時間のうちに大きく下がる指標ではなく、摂取したタンパク質が代謝されればむしろわずかに上がる方向に動く。日常的には腎機能・脱水・タンパク質摂取量を反映する値として読む。
✗ 3. 誤り
インスリン
血糖上昇を直接の刺激としてB(β)細胞から分泌が増える。加えて食物が消化管に達すると小腸からインクレチン(GIP、GLP-1)が分泌され、インスリン分泌をさらに増強する。よって食後は必ず上昇する。
ポイント
  • 食後(吸収期)=血糖↑・インスリン↑・グルカゴン↓、空腹時(絶食期)=血糖↓・インスリン↓・グルカゴン↑。この対をセットで覚える。
  • インスリンは膵島B(β)細胞、グルカゴンはA(α)細胞から。同じ膵島から逆向きの作用が出る。
  • 血糖を下げるホルモンはインスリンだけ。上げる側はグルカゴン・アドレナリン・コルチゾール・成長ホルモンと複数あり、低血糖への備えが手厚い。
  • 食後はインクレチン(GIP・GLP-1)が腸から分泌され、インスリン分泌を後押しする。
  • 尿素窒素は「食後1時間で動く値」ではなく、タンパク質代謝と腎排泄を映す指標。血糖・インスリン系と混同しない。
比較表
血中の指標食後60分(吸収期)空腹時・絶食期理由
血糖上昇(ピーク付近)低下〜一定に維持小腸からのブドウ糖吸収
インスリン上昇低下高血糖+インクレチンが分泌刺激
グルカゴン低下上昇血糖を上げる必要がない/必要がある
遊離脂肪酸・ケトン体低下上昇インスリンが脂肪分解を抑える/抑えが外れる
尿素窒素(BUN)ほぼ不変〜やや上昇ほぼ不変タンパク質代謝と腎排泄で決まる
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