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理由で解く 柔道整復師

QJ30A088 生理学

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午前 問88
問題
ホルモン過剰症で高血圧と高血糖をきたすのはどれか。
選択肢
1 インスリン
2 オキシトシン
3 コルチゾール
4 プロラクチン
解答
正解3(コルチゾール)
解説

高血圧と高血糖をそろって起こすのはコルチゾールの過剰、すなわちクッシング症候群です。「糖新生を増やして血糖を上げ、Na⁺ を溜めて血圧を上げる」と 2 つの症状が 1 本の線でつながります。

コルチゾールは副腎皮質束状層から分泌される糖質コルチコイドで、肝での糖新生を促進し、末梢組織でのグルコース取り込みを抑える(インスリン拮抗作用)ため血糖が上がります。血圧については、血管平滑筋のカテコラミンに対する反応性を高めるうえ、濃度が高いと鉱質コルチコイド受容体にも作用して腎での Na⁺ 再吸収と K⁺ 排泄を促し、循環血漿量を増やします。この 2 つが重なるため、過剰症では高血糖と高血圧が同時に現れます。さらに蛋白異化による筋萎縮や皮膚の菲薄化、脂肪の再分布による中心性肥満・満月様顔貌・水牛様肩、骨吸収亢進による骨粗鬆症、免疫抑制も特徴で、施術の際は骨のもろさと皮膚の脆弱性に配慮した力加減が必要です。

✓ 3. 正しい
コルチゾール
糖新生の促進とインスリン拮抗作用で高血糖、鉱質コルチコイド様作用と血管反応性の亢進で高血圧をきたします。中心性肥満・満月様顔貌・骨粗鬆症・易感染性を合わせてクッシング症候群として覚えます。
✗ 1. 誤り
インスリン
インスリンは血糖を下げる唯一のホルモンで、過剰では低血糖になります。高血糖を起こすのは、むしろその不足や作用不全です。
✗ 2. 誤り
オキシトシン
下垂体後葉から分泌され、分娩時の子宮平滑筋収縮と乳腺の筋上皮細胞の収縮(射乳)を担います。糖代謝や血圧の主要な調節因子ではありません。
✗ 4. 誤り
プロラクチン
下垂体前葉から分泌され乳汁産生を促します。過剰では乳汁漏出と、性腺刺激ホルモン抑制による無月経や男性の性腺機能低下が主症状で、高血圧・高血糖の組合せは特徴ではありません。
ポイント
  • コルチゾール過剰=クッシング症候群。高血糖+高血圧が同時に出る。
  • 高血糖の機序:肝の糖新生促進+末梢のグルコース取り込み抑制。
  • 高血圧の機序:鉱質コルチコイド様作用による Na⁺ 再吸収+血管のカテコラミン感受性亢進。
  • 随伴所見は中心性肥満・満月様顔貌・水牛様肩・皮膚線条・骨粗鬆症・易感染性。
  • 血糖を上げるホルモンは複数(コルチゾール、成長ホルモン、グルカゴン、アドレナリン、甲状腺ホルモン)、下げるのはインスリンだけ。
比較表
ホルモン過剰症での血糖過剰症での血圧代表的な随伴所見
コルチゾール上昇上昇中心性肥満、満月様顔貌、水牛様肩、皮膚線条、骨粗鬆症、易感染性(クッシング症候群)
アルドステロンほぼ変化なし上昇低 K⁺ 血症、代謝性アルカローシス(原発性アルドステロン症)
成長ホルモン上昇(耐糖能低下)上昇しやすい先端巨大症(成人)・巨人症(小児)、手足や下顎の肥大
インスリン低下(低血糖)大きな変化なし冷汗、動悸、意識障害などの低血糖症状
オキシトシン変化なし変化なし子宮収縮・射乳。過剰症として問われることはまれ
プロラクチン変化なし変化なし乳汁漏出、無月経、男性の性腺機能低下
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