学習トップ理由で解く 柔道整復師解剖学 ▸ §2 運動器系 / QJ30A055

理由で解く 柔道整復師

QJ30A055 解剖学

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午前 問55
問題
写真(別冊 No. 1)を別に示す。矢印の部位に付く筋の支配神経はどれか。
図
選択肢
1 長胸神経
2 胸背神経
3 肩甲上神経
4 肩甲下神経
解答
正解1(長胸神経)
解説

矢印の部位に付くのは前鋸筋であり、その支配神経は腕神経叢の根から直接分かれる長胸神経(C5〜C7)である。

前鋸筋は第1〜第9肋骨の外側面から鋸の歯のように起こり、肩甲骨と胸郭のあいだを後方へ回って肩甲骨の内側縁前面と下角に停止する。はたらきは、肩甲骨を胸郭に押しつけて安定させること、肩甲骨を前方へ引くこと、そして下部線維が僧帽筋と協力して肩甲骨を上方回旋させ、上肢を頭の上まで挙げられるようにすることである。長胸神経は腕神経叢の根(C5〜C7)から鎖骨より上で直接分かれ、前鋸筋の表面を長く下行するため、外側胸部の外傷や腋窩の手術、重い荷物を肩に担ぐ圧迫などで障害を受けやすい。麻痺すると肩甲骨を胸郭に押しつける力が失われ、内側縁と下角が浮き上がる翼状肩甲を呈し、上肢の挙上が困難になる。

✓ 1. 正しい
長胸神経
写真の矢印が示す部位に付くのは前鋸筋であり、これを支配するのが長胸神経(C5〜C7)である。腕神経叢の根から直接分かれて前鋸筋の表面を下行するため走行が長く、障害されると翼状肩甲を生じる。
✗ 2. 誤り
胸背神経
腕神経叢の後神経束(C6〜C8)から出て広背筋を支配する。広背筋は胸腰筋膜や下位胸椎棘突起などから起こり、上腕骨の小結節稜に停止するので、肋骨から肩甲骨へ向かう筋とは支配関係がない。
✗ 3. 誤り
肩甲上神経
腕神経叢の上神経幹(C5〜C6)から分かれ、肩甲切痕を通って棘上筋と棘下筋を支配する。いずれも肩甲骨の背側面に起こる筋であり、肋骨から起こる前鋸筋とは別系統である。
✗ 4. 誤り
肩甲下神経
後神経束(C5〜C6)から出て、肩甲下窩を占める肩甲下筋(および下肩甲下神経は大円筋)を支配する。肩甲下筋は前鋸筋のすぐ背側(深層)で肩甲骨前面の肩甲下窩を占めるため紛らわしいが、支配神経は別である。
ポイント
  • 前鋸筋は第1〜第9肋骨外側面から起こり、肩甲骨内側縁前面と下角に停止する。支配は長胸神経(C5〜C7)。
  • 長胸神経は腕神経叢の根から直接分かれ前鋸筋表面を下行するため露出が長く、損傷を受けやすい。
  • 前鋸筋麻痺の所見は翼状肩甲と上肢挙上制限。肩甲骨が胸郭から浮くかどうかを壁押し(wall push)で確認する。
  • 肩甲骨まわりの神経は「長胸→前鋸筋/肩甲背→肩甲挙筋・菱形筋/肩甲上→棘上筋・棘下筋/肩甲下→肩甲下筋・大円筋/胸背→広背筋」とセットで整理する。
  • 肩甲骨前面では、胸壁側の浅層を前鋸筋が走り、その背側(深層)で肩甲下窩を肩甲下筋が占める。内外に並ぶのではなく前後に重なる位置関係。どちらの筋かを起始(肋骨か肩甲下窩か)で見分けてから神経を答える。
比較表
神経分岐部位(髄節)支配筋麻痺で目立つ所見
長胸神経腕神経叢の根から直接(C5〜C7)前鋸筋翼状肩甲・上肢挙上困難
胸背神経後神経束(C6〜C8)広背筋肩関節の伸展・内転・内旋力の低下
肩甲上神経上神経幹(C5〜C6)棘上筋・棘下筋外転開始と外旋の低下、棘上窩・棘下窩の陥凹
肩甲下神経後神経束(C5〜C6)肩甲下筋・大円筋(下肩甲下神経)肩関節内旋力の低下
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