学習トップ理由で解く 柔道整復師解剖学 ▸ §2 運動器系 / QJ30A056

理由で解く 柔道整復師

QJ30A056 解剖学

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午前 問56
問題
鼡径管の構成要素でないのはどれか。
選択肢
1 外腹斜筋腱膜
2 腹直筋鞘後葉
3 鼡径靱帯
4 腹横筋
解答
正解2(腹直筋鞘後葉)
解説

鼡径管の壁をつくるのは外腹斜筋腱膜・内腹斜筋・腹横筋・腹横筋膜・鼡径靱帯である。腹直筋鞘後葉はこの高さには存在せず、構成要素に含まれない。

鼡径管は、上前腸骨棘と恥骨結節を結ぶ鼡径靱帯のすぐ上方を、外側上方から内側下方へ約4〜5cm斜めに走る腹壁のトンネルである。前壁は外腹斜筋腱膜(外側部では内腹斜筋の起始部が加わる)、後壁は腹横筋膜(内側部は内腹斜筋と腹横筋の腱が合した鼡径鎌=結合腱で補強される)、上壁(天井)は内腹斜筋と腹横筋の下縁、下壁(床)は鼡径靱帯が溝状に反転した部分がつくる。入口の深鼡径輪は腹横筋膜の孔、出口の浅鼡径輪は外腹斜筋腱膜の裂け目である。内容は男性では精索、女性では子宮円索で、いずれにも腸骨鼡径神経が伴走する。一方、腹直筋鞘後葉は臍と恥骨結合のほぼ中間にある弓状線より下方では消失し、そこから下は腹直筋の後面が腹横筋膜に直接接する。鼡径管はこの弓状線より下にあるため、後葉が壁として関与する余地がない。

✓ 2. これが答え(構成要素ではない)
腹直筋鞘後葉
腹直筋鞘の後葉は弓状線より下方では欠如し、鼡径管が走る高さには存在しない。そもそも腹直筋鞘は正中寄りで腹直筋を包む構造であり、鼡径管の前後上下いずれの壁もつくらない。
✗ 1. 構成要素である(答えではない)
外腹斜筋腱膜
鼡径管の前壁をつくる主役で、その裂け目が出口である浅鼡径輪となる。さらに腱膜の下縁が後上方へ折り返して鼡径靱帯となり、管の下壁も形成する。
✗ 3. 構成要素である(答えではない)
鼡径靱帯
外腹斜筋腱膜の下縁が上前腸骨棘から恥骨結節へ張り、溝状に反転して鼡径管の下壁(床)をつくる。管がこの靱帯に沿って走ることが名称の由来でもある。
✗ 4. 構成要素である(答えではない)
腹横筋
内腹斜筋とともに下縁が弓状に走って鼡径管の上壁(天井)をつくり、さらにその腱が内腹斜筋の腱と合して鼡径鎌(結合腱)となり後壁の内側部を補強する。深部の腹横筋膜も後壁の主体である。
ポイント
  • 鼡径管の4壁は「前=外腹斜筋腱膜/後=腹横筋膜(内側は鼡径鎌で補強)/上=内腹斜筋・腹横筋の下縁/下=鼡径靱帯」。前後上下の順に唱えて確認する。
  • 腹直筋鞘後葉は弓状線より下で消失するため、鼡径管の高さには存在しない。
  • 深鼡径輪は腹横筋膜の孔(鼡径靱帯中点のやや上外側)、浅鼡径輪は外腹斜筋腱膜の裂け目(恥骨結節の上外側)。
  • 内容物は男性=精索、女性=子宮円索、共通して腸骨鼡径神経が通る。
  • 外鼡径ヘルニアは深鼡径輪から、内鼡径ヘルニアは後壁の弱い部分(ヘッセルバッハ三角)から脱出すると整理しておくと、壁の構成が記憶に残りやすい。
比較表
部位つくる構造
前壁外腹斜筋腱膜(外側部では内腹斜筋の起始部が加わる)
後壁腹横筋膜(内側部は鼡径鎌=内腹斜筋・腹横筋の合同腱で補強)
上壁(天井)内腹斜筋・腹横筋の下縁
下壁(床)鼡径靱帯(外腹斜筋腱膜の下縁が反転したもの)
含まれないもの腹直筋鞘後葉(弓状線より下方では欠如する)
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