学習トップ理由で解く 柔道整復師解剖学 ▸ §2 運動器系 / QJ30A057

理由で解く 柔道整復師

QJ30A057 解剖学

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午前 問57
問題
三角筋下包が接する腱を持つのはどれか。
選択肢
1 棘上筋
2 棘下筋
3 小円筋
4 大円筋
解答
正解1(棘上筋)
解説

三角筋下包は肩峰下滑液包と連続する滑液包で、棘上筋腱の上面に接します。腱が肩峰の下をくぐるときの潤滑装置です。

肩峰下滑液包は、肩峰と烏口肩峰靱帯の下面と、その下を通る棘上筋腱との間にある扁平な袋で、外側は三角筋の深面へ広がって三角筋下包となります。両者は多くの場合ひと続きで、上腕を挙げるときに棘上筋腱と骨・筋との摩擦を減らす役割を担います。棘上筋腱は肩峰と上腕骨頭に挟まれる位置を通るため、この滑液包がなければ挙上のたびに腱がすり減ってしまいます。実際に使いすぎや加齢で滑液包の炎症や腱の変性が起こると、外転60〜120度で痛みが出る有痛弧徴候として現れ、腱板断裂も棘上筋腱に生じやすくなります。触診や運動療法を組み立てる際は、この「腱と骨のあいだのクッション」の位置関係を頭に置いて可動域を確認するとよいでしょう。

✓ 1. 正しい
棘上筋
棘上窩から起こり、肩峰の下を通って上腕骨大結節の上面に停止します。その腱の上面に三角筋下包(肩峰下滑液包)が接し、挙上時の滑りを保っています。棘上筋は外転の始動と骨頭の求心位保持を担い、肩甲上神経の支配を受けます。
✗ 2. 誤り
棘下筋
棘下窩から起こり大結節の中部に停止する外旋筋です。回旋筋腱板の一員ですが、肩峰の直下を通る位置関係にはなく、三角筋下包が接する腱とはされません。
✗ 3. 誤り
小円筋
肩甲骨の外側縁から起こり大結節の下部に停止します。腱板の一員で外旋に働きますが、走行は肩関節の後方であり、肩峰下の滑液包とは接しません。腋窩神経の支配を受ける点も他の腱板筋と異なります。
✗ 4. 誤り
大円筋
肩甲骨下角の背面から起こり、上腕骨の小結節稜に停止します。停止が大結節ではなく小結節稜で、支配も肩甲下神経であるため回旋筋腱板には含まれず、肩峰下を通ることもありません。
ポイント
  • 三角筋下包は肩峰下滑液包の外側部。棘上筋腱の上面と、肩峰・烏口肩峰靱帯・三角筋の間にある。
  • 回旋筋腱板は棘上筋・棘下筋・小円筋(大結節に停止)+肩甲下筋(小結節に停止)。
  • 棘上筋は外転の始動と骨頭の求心位保持を担い、肩甲上神経支配。
  • 大円筋は腱板ではない。停止は小結節稜、支配は肩甲下神経。
  • 肩峰下でのはさみ込みが有痛弧徴候(外転60〜120度の痛み)を生む。挙上角度と痛みの出方を確認する。
比較表
停止支配神経主作用
棘上筋大結節(上面)肩甲上神経外転の始動
棘下筋大結節(中部)肩甲上神経外旋
小円筋大結節(下部)腋窩神経外旋
肩甲下筋小結節肩甲下神経内旋
大円筋小結節稜肩甲下神経内転・内旋・伸展
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