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理由で解く 柔道整復師

QJ30A052 解剖学

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午前 問52
問題
滑車が関与するのはどれか。
選択肢
1 上斜筋
2 上直筋
3 下斜筋
4 下直筋
解答
正解1(上斜筋)
解説

眼球を動かす外眼筋のうち、腱が滑車(trochlea)を通って走行の向きを変えるのは上斜筋だけである。

上斜筋は視神経管を囲む総腱輪(起始部は内上方の蝶形骨体にも及ぶ)から起こり、まず眼窩の前上内側へ向かって前走する。そこにある線維軟骨性の滑車で腱がU字に折り返し、向きを後外側へ変えてから、眼球赤道より後方の上外側面に付着する。この折り返しによって滑車が実質的な力の作用点となるため、収縮すると眼球は内方回旋を主体に下転・外転を伴う。支配神経も名前どおり滑車神経(第Ⅳ脳神経)であり、「滑車・上斜筋・滑車神経」を三点セットで結びつけておくと迷わない。もう一方の斜筋である下斜筋は、眼窩下内側の上顎骨眼窩面から直接起こって眼球へ向かうため滑車を必要とせず、直筋4本はいずれも総腱輪から眼球へ最短距離で走るので方向転換の装置がない。

✓ 1. 正しい
上斜筋
総腱輪から起こった筋が腱となり、眼窩前上内側にある滑車で折り返して後外側へ向きを変え、眼球の上外側面へ回り込む。滑車が関与する唯一の外眼筋であり、支配神経も滑車神経である。作用は内方回旋を主とし、下転・外転を伴う。
✗ 2. 誤り
上直筋
総腱輪から起こり、眼球上面の前方(角膜縁のやや後方)へまっすぐ走って付着する。途中に方向転換の装置はなく、滑車は関与しない。動眼神経支配で、主な作用は上転である。
✗ 3. 誤り
下斜筋
斜筋という名前から滑車を連想しやすいが、下斜筋は上顎骨の眼窩面(涙嚢窩の外側)という眼窩前内側の骨から直接起こるため、向きを変える滑車を必要としない。眼球を動かす6筋のなかで唯一、総腱輪から起こらない筋でもある(上眼瞼挙筋を外眼筋に含める立場では、この筋も蝶形骨小翼から起こり総腱輪起始ではない)。動眼神経支配で、外方回旋・上転・外転にはたらく。
✗ 4. 誤り
下直筋
総腱輪から眼球下面へ直線的に走る直筋で、滑車は関与しない。動眼神経支配で、主な作用は下転である。
ポイント
  • 滑車を通るのは上斜筋のみ。支配神経も同じ名の滑車神経(第Ⅳ脳神経)で、名前どおりに覚える。
  • 上斜筋は滑車が実質的な起始(力の作用点)となるため、収縮すると眼球後上外側の停止部が前内側の滑車へ向かって引かれる。その結果が内方回旋+下転+外転と理解すると丸暗記にならない。
  • 下斜筋は上顎骨眼窩面から起こり、眼球運動を担う6筋のなかで唯一、総腱輪から起こらない。滑車も通らない点が最大の引っかけ。
  • 外眼筋で動眼神経支配でないのは上斜筋(滑車神経)と外側直筋(外転神経)の2つだけ。
  • 選択肢に斜筋が2つ並んだら、まず起始(総腱輪か上顎骨か)を確認してから滑車の有無を判断する。
比較表
起始滑車主な作用支配神経
上斜筋総腱輪(内上方の蝶形骨体に及ぶ)通る内方回旋・下転・外転滑車神経
上直筋総腱輪通らない上転(内転・内方回旋を伴う)動眼神経
下斜筋上顎骨の眼窩面(6筋で唯一、総腱輪起始でない)通らない外方回旋・上転・外転動眼神経
下直筋総腱輪通らない下転(内転・外方回旋を伴う)動眼神経
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