学習トップ理由で解く 柔道整復師解剖学 ▸ §1 人体解剖学概説 / QJ30A051

理由で解く 柔道整復師

QJ30A051 解剖学

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午前 問51
問題
単層扁平上皮を有するのはどれか。
選択肢
1 気管
2 血管
3 尿管
4 肛門管
解答
正解2(血管)
解説

単層扁平上皮は「薄いことが仕事になる場所」に置かれます。血管の内面をおおう内皮がその代表で、正答は2の血管です。

上皮は細胞の層の数(単層・重層)と形(扁平・立方・円柱)で分類され、その組合せはその場所の役割をそのまま反映します。拡散や濾過が主な仕事の場所は、隔てる壁が薄いほど有利なので単層扁平上皮になります。具体的には、血管・リンパ管や心臓の内面をおおう内皮、ガス交換を行う肺胞(Ⅰ型肺胞上皮)、胸膜・腹膜・心膜の表面をおおう中皮です。一方、強い摩擦や乾燥にさらされる場所は細胞を何層も重ねた重層扁平上皮で守り、皮膚・口腔・食道・肛門管下部・腟がこれにあたります。尿を溜めて伸び縮みする腎杯から尿管・膀胱・尿道の一部は移行上皮(尿路上皮)、空気を運びながら異物を排出する気管・気管支は線毛と杯細胞をもつ多列線毛上皮です。吸収と分泌が仕事の胃・腸・子宮・卵管は背の高い単層円柱上皮で、卵管では線毛細胞と分泌細胞からなる単層円柱(線毛)上皮が卵子を運びます(多列=偽重層ではありません)。「薄い=交換」「重ねる=保護」「伸びる=移行」「運ぶ=線毛」と役割から引き出せば、暗記に頼らず選べます。

✓ 2. 正しい
血管
血管の内面をおおう内皮が単層扁平上皮です。薄い一層であることが物質の出入りと血流の抵抗低減に適しており、毛細血管ではこの内皮と基底膜だけで交換が行われます。
✗ 1. 誤り
気管
気管の粘膜は線毛細胞と杯細胞からなる多列線毛上皮です。すべての細胞が基底膜に接しながら核の高さが違うため重なって見えるだけで、単層扁平上皮ではありません。粘液で異物をとらえ、線毛で咽頭へ運び上げるための構造です。
✗ 3. 誤り
尿管
尿管は移行上皮(尿路上皮)です。伸展すると細胞が扁平化して層が薄く見えますが、もとは重層で、単層扁平上皮とは区別されます。
✗ 4. 誤り
肛門管
肛門管の下部は皮膚に連続する重層扁平上皮です。便の通過による摩擦に耐えるための構造で、直腸側の単層円柱上皮から歯状線で切り替わります。
ポイント
  • 単層扁平上皮=内皮(血管・リンパ管・心内膜)、肺胞Ⅰ型上皮、漿膜の中皮。薄さが交換・濾過に有利。
  • 重層扁平上皮=皮膚・口腔・食道・肛門管下部・腟。摩擦と乾燥から守る。
  • 移行上皮(尿路上皮)=腎杯・腎盂・尿管・膀胱。伸び縮みに対応する。
  • 多列線毛上皮=気管・気管支・鼻腔。線毛と粘液で異物を運び出す。
  • 単層円柱(線毛)上皮=胃・腸・子宮・卵管。卵管の粘膜は線毛細胞と分泌細胞からなる単層円柱上皮で、多列(偽重層)ではない。
  • 形から役割を逆算する習慣をつける。「薄い=交換/重ねる=保護/伸びる=移行/運ぶ=線毛」。
比較表
上皮の種類おもな部位役割
単層扁平上皮血管・リンパ管の内皮、心内膜、肺胞、胸膜・腹膜・心膜の中皮拡散・濾過・摩擦の少ない滑走面
単層円柱(線毛)上皮胃、腸、子宮、卵管吸収と分泌。卵管では線毛細胞と分泌細胞が卵子を運ぶ
多列線毛上皮気管・気管支、鼻腔粘液と線毛による異物の排出
移行上皮腎盂・尿管・膀胱伸展と収縮への対応、尿の透過防止
重層扁平上皮皮膚、口腔、食道、肛門管下部、腟摩擦・乾燥・化学刺激からの保護
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