学習トップ理由で解く 柔道整復師解剖学 ▸ §10 感覚器系 / QJ29A061

理由で解く 柔道整復師

QJ29A061 解剖学

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午前 問61
問題
有郭乳頭の味覚を支配するのはどれか。
選択肢
1 第V脳神経
2 第VII脳神経
3 第Ⅸ脳神経
4 第XII脳神経
解答
正解3(第Ⅸ脳神経)
解説

有郭乳頭の味蕾からの味覚は、舌咽神経(第Ⅸ脳神経)が伝えます。有郭乳頭は分界溝のすぐ前、つまり位置としては舌の前寄りにありながら支配は舌咽神経、という「ずれ」が本問の狙いです。

舌の神経支配は、味覚・一般体性感覚(触覚や痛覚)・運動の3つを別々の表として整理すると混乱しません。味覚は舌の前3分の2が顔面神経(鼓索神経)、後ろ3分の1が舌咽神経、喉頭蓋周辺が迷走神経です。一般体性感覚は前3分の2が三叉神経第3枝の舌神経、後ろ3分の1が舌咽神経で、前方では味覚と一般感覚の担当神経が食い違います。運動は口蓋舌筋を除くすべての舌筋を舌下神経が支配します。舌乳頭のうち味蕾をもつのは茸状乳頭・葉状乳頭・有郭乳頭の3種で、数のうえで最も多い糸状乳頭には味蕾がありません。有郭乳頭は8〜12個ほどが分界溝に沿ってV字状に並ぶ大型の乳頭で、境界線のすぐ手前にあるため位置は前3分の2に含まれますが、味覚は後方と同じ舌咽神経が受け持ちます。「有郭乳頭だけは例外的にⅨ」と1行で覚えてしまうのが確実です。

✓ 3. 正しい
第Ⅸ脳神経
舌咽神経です。舌の後ろ3分の1の味覚と一般感覚に加え、分界溝の前に並ぶ有郭乳頭の味覚も担当します。有郭乳頭を取り巻く溝には漿液を出すエブネル腺が開口し、味物質を洗い流して次の味を感じ取れるようにしています。
✗ 1. 誤り
第V脳神経
三叉神経です。第3枝から出る舌神経が舌の前3分の2の触覚・痛覚・温度覚を伝えますが、味覚線維は自前ではもちません。顔面神経から分かれた鼓索神経が舌神経に合流して走るため走行は重なりますが、味を運んでいるのは顔面神経側の線維です。
✗ 2. 誤り
第VII脳神経
顔面神経です。鼓索神経を介して舌の前3分の2(茸状乳頭など)の味覚を担当します。有郭乳頭より前の広い範囲が守備範囲で、有郭乳頭そのものは含みません。前3分の2を問われたときはこちらを選びます。
✗ 4. 誤り
第XII脳神経
舌下神経です。ほぼ純粋な運動神経で、内舌筋と外舌筋(口蓋舌筋を除く)を動かします。味覚も一般感覚も伝えません。障害されると舌を出したときに患側へ偏位します。
ポイント
  • 味覚:前3分の2=顔面神経(鼓索神経)/後ろ3分の1と有郭乳頭=舌咽神経/喉頭蓋・咽頭=迷走神経。
  • 一般体性感覚:前3分の2=三叉神経(舌神経、第3枝)/後ろ3分の1=舌咽神経。前方は味覚と担当神経が異なる。
  • 運動:舌筋は舌下神経。ただし口蓋舌筋だけは咽頭神経叢(迷走神経)支配。
  • 味蕾をもつ乳頭は茸状・葉状・有郭の3種。最も数が多い糸状乳頭には味蕾がない(角化して食物を絡める機械的役割)。
  • 有郭乳頭は8〜12個が分界溝の前でV字に並ぶ大型乳頭。周囲の溝にエブネル腺が開口する。
比較表
部位味覚一般体性感覚運動
舌 前3分の2(茸状乳頭など)顔面神経(Ⅶ)=鼓索神経三叉神経(Ⅴ3)=舌神経舌下神経(Ⅻ)
※口蓋舌筋のみ迷走神経(Ⅹ)
有郭乳頭(分界溝の直前)舌咽神経(Ⅸ)舌咽神経(Ⅸ)
舌 後3分の1舌咽神経(Ⅸ)舌咽神経(Ⅸ)
舌根後方・喉頭蓋周辺迷走神経(Ⅹ)迷走神経(Ⅹ)
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