学習トップ理由で解く 柔道整復師解剖学 ▸ §10 感覚器系 / QJ28A079

理由で解く 柔道整復師

QJ28A079 解剖学

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午前 問79
問題
白内障の病変部位はどれか。
選択肢
1 虹彩
2 水晶体
3 硝子体
4 視神経乳頭
解答
正解2(水晶体)
解説

白内障は水晶体が混濁して透明性を失う疾患です。正答は2です。

水晶体は角膜に次ぐ屈折装置であり、毛様体筋とチン小帯(毛様体小帯)の働きで厚みを変えて遠近の調節を行います。血管をもたず、水晶体上皮細胞がつくるクリスタリンという蛋白が規則正しく配列することで透明性が保たれています。加齢や紫外線、酸化ストレスによってこの蛋白が変性・凝集すると光が散乱し、視力低下・かすみ・まぶしさ(羞明)・単眼複視が生じます。最も多いのは加齢性白内障で、ほかに糖尿病、副腎皮質ステロイドの長期使用、眼外傷、先天性(風疹など)が原因となります。一度混濁した水晶体は薬では元に戻らないため、日常生活に支障が出た段階で超音波乳化吸引術と眼内レンズ挿入が行われます。

✗ 1. 誤り
虹彩
瞳孔括約筋と瞳孔散大筋によって瞳孔の大きさを変え、眼内に入る光量を調節する部位です。病変としては虹彩炎(ぶどう膜炎)や外傷性散瞳などがあり、水晶体の混濁とは別です。
✓ 2. 正しい
水晶体
白内障はこの水晶体の混濁そのものを指します。透明だった蛋白が変性して光が散乱するため、視力低下と羞明が生じます。
✗ 3. 誤り
硝子体
水晶体の後方から眼球の大部分を満たすゼリー状の組織で、眼球の形を保ちます。加齢による混濁は飛蚊症として、出血は硝子体出血として視界に影響しますが、白内障の病変部位ではありません。
✗ 4. 誤り
視神経乳頭
網膜神経節細胞の軸索が集まって眼球を出る部位で、視細胞がないため生理的な盲点となります。緑内障では乳頭陥凹が拡大し、頭蓋内圧亢進ではうっ血乳頭が見られます。
ポイント
  • 「白内障=水晶体の混濁」「緑内障=眼圧上昇と視神経乳頭の陥凹・視野欠損」。名前が似ている2疾患を病変部位で対にして覚える。
  • 水晶体は血管をもたず、房水から栄養を受ける。透明性はクリスタリン蛋白の規則的配列による。
  • 加齢性が最多。ほかに糖尿病、ステロイド長期使用、外傷、先天性(風疹)が原因となる。
  • 症状は視力低下・霧視・羞明・単眼複視。「明るいところでかえって見えにくい」という訴えが手がかりになる。
  • 高齢者の視力低下は転倒や段差のつまずきの誘因になる。施術所では床の段差や照明を整え、見えにくさの訴えがあれば眼科受診を勧め、治療可能な疾患であることを伝える。
比較表
部位主な役割代表的な病変
水晶体屈折と調節白内障(混濁)
虹彩瞳孔径の調節(光量調節)虹彩炎・ぶどう膜炎、瞳孔異常
硝子体眼球の形態保持硝子体混濁(飛蚊症)、硝子体出血
視神経乳頭神経節細胞軸索の出口(生理的盲点)緑内障(乳頭陥凹の拡大)、うっ血乳頭
隅角・毛様体房水の産生と流出緑内障(眼圧上昇)
網膜光の受容網膜剥離、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性
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