学習トップ理由で解く 柔道整復師解剖学 ▸ §3 脈管系(循環器系) / QJ29A062

理由で解く 柔道整復師

QJ29A062 解剖学

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午前 問62
問題
壁側腹膜の背側を走行するのはどれか。
選択肢
1 脾動脈
2 左胃動脈
3 固有肝動脈
4 右胃大網動脈
解答
正解1(脾動脈)
解説

膵臓の上縁に沿って後腹壁を走る脾動脈が、壁側腹膜の背側(後腹膜)を通る。正答は1。

腹部の動脈は「腹膜のヒダに包まれて腹腔側を走るもの」「後腹壁に貼りついて壁側腹膜の背側を走るもの」の2群に分けて捉える。腹腔動脈の3枝のうち、左胃動脈と総肝動脈は小網(肝胃間膜・肝十二指腸間膜)の2葉の間に入り込み、腹膜に包まれて走る。これに対し脾動脈は、後腹膜に固定された膵臓の上縁に沿って左方へ強く蛇行しながら進むため、走行の大部分が壁側腹膜の背側にとどまる。ただし膵臓のうち尾部だけは脾腎ヒダ(脾腎間膜)に包まれて腹腔側に入る例外で、脾動脈も脾門の手前ではこの腹膜ヒダの中へ移る。膵(尾部を除く)・十二指腸下行部・腎と尿管・副腎・腹部大動脈と下大静脈が後腹膜側にあることとセットで整理すると、「どの血管が後ろを通るか」は位置関係から導ける。

✓ 1. 正しい
脾動脈
腹腔動脈の枝で、後腹膜に固定された膵臓の上縁を蛇行しながら左方へ走る。走行の大半が壁側腹膜の背側にあり、膵体尾部への枝や左胃大網動脈・短胃動脈を分けたのち、脾腎ヒダを経て脾門に達する。
✗ 2. 誤り
左胃動脈
腹腔動脈の枝で、胃小弯に沿って走る。小網(肝胃間膜)の2葉の間に包まれた腹腔側の血管であり、壁側腹膜の背側ではない。上方へ食道枝を出す点も特徴。
✗ 3. 誤り
固有肝動脈
総肝動脈から分かれ、肝十二指腸間膜(小網の遊離縁)の中を、総胆管・門脈とともに肝門へ上行する。腹膜のヒダに包まれて走る典型例である。
✗ 4. 誤り
右胃大網動脈
胃十二指腸動脈の枝で、胃大弯に沿って大網(胃結腸間膜)の中を左方へ走り、左胃大網動脈と吻合する。これも腹膜のヒダの中を走る血管である。
ポイント
  • 脾動脈は膵臓上縁を蛇行し、後腹膜(壁側腹膜の背側)を走る(脾門の手前で脾腎ヒダに入る)
  • 左胃動脈・固有肝動脈は小網の中、右胃大網動脈は大網の中=腹腔側
  • 腹腔動脈の3枝=左胃動脈・脾動脈・総肝動脈
  • 後腹膜側にあるもの=膵(尾部を除く)・十二指腸下行部・腎・尿管・副腎・腹部大動脈・下大静脈
  • 膵尾部は脾腎ヒダに包まれて腹腔内に入る例外
比較表
動脈走る場所腹膜との関係
脾動脈膵臓の上縁(後腹壁)壁側腹膜の背側=後腹膜(脾門近くで脾腎ヒダへ)
左胃動脈胃小弯小網(肝胃間膜)の中
固有肝動脈肝門へ向かう肝十二指腸間膜の中
右胃大網動脈胃大弯大網(胃結腸間膜)の中
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