学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §20 肘関節後方脱臼の固定 / QJ30A022

理由で解く 柔道整復師

QJ30A022 必修問題

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午前 問22
問題
肘関節後方脱臼でクラーメルによる固定範囲はどれか。
選択肢
1 前腕近位まで
2 前腕遠位まで
3 MP 関節手前まで
4 PIP 関節手前まで
解答
正解3(MP 関節手前まで)
解説

クラーメル(金属副子)による固定は、上腕近位部から手部のMP関節手前までを覆い、肘90度屈曲・前腕中間位で保持します。

肘関節後方脱臼の整復後は、肘の屈伸だけでなく前腕の回内外と手関節の動きも制動しないと整復位が保てず、関節包・側副靱帯の治癒を妨げます。そこで副子は上腕近位(腋窩下)から前腕・手部へ渡し、手関節をまたいでMP関節の手前で止めます。MP関節より遠位まで当てると手指のMP屈曲が妨げられ、内在筋が短縮して手指が伸展位で固まりやすくなります。固定期間中は毎回、手指の自動運動と肩関節の運動を指導し、末梢の色調・腫脹・しびれ・疼痛を確認して締めすぎがあれば調整します。

✓ 3. 正しい
MP 関節手前まで
MP関節手前までなら、肘・前腕・手関節を確実に制動しながら手指は自由に動かせます。手指の自動運動を続けられることが、浮腫と拘縮の予防につながります。
✗ 1. 誤り
前腕近位まで
短すぎます。前腕の回内外と手関節が自由なままで、回旋の力がそのまま肘に伝わり整復位を保てません。
✗ 2. 誤り
前腕遠位まで
手関節をまたがないため前腕回旋の制動が不十分です。日常動作でドアノブを回すような動きが加わると整復位がずれます。
✗ 4. 誤り
PIP 関節手前まで
長すぎます。MP関節の屈曲まで止まってしまい、手指が伸展位で拘縮する危険があります。固定は目的の関節を確実に止め、それ以外は動かせる範囲を残すのが原則です。
ポイント
  • 肘関節後方脱臼の整復後固定は上腕近位から手部MP関節手前まで、肘90度屈曲・前腕中間位。
  • 手関節をまたぐ理由は前腕回内外を止めるため。前腕までの固定では回旋が残る。
  • MP関節手前で止める理由は手指の自動運動を残し、浮腫と拘縮を防ぐため。
  • 固定中は手指・肩の運動指導と、末梢の色調・腫脹・しびれの確認を毎回行う。
比較表
固定範囲制動できる動き残る問題
前腕近位まで肘の屈伸のみ前腕回旋・手関節が自由で整復位を保てない
前腕遠位まで肘の屈伸+一部の前腕回旋手関節をまたがず回旋制動が不十分
MP関節手前まで(適切)肘の屈伸・前腕回内外・手関節手指は動かせるので拘縮・浮腫を防げる
PIP関節手前まで上記+MP関節の屈曲過剰固定。手指が伸展位で拘縮しやすい
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