学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §9 上腕骨外科頸外転型骨折の診察および整復 / QJ30A010

理由で解く 柔道整復師

QJ30A010 必修問題

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午前 問10
問題
上腕骨外科頸外転型骨折の整復で改善するのはどれか。
選択肢
1 前内方凸変形
2 前外方凸変形
3 後内方凸変形
4 後外方凸変形
解答
正解1(前内方凸変形)
解説

上腕骨外科頸外転型骨折では、遠位骨片が外転し骨折部が前内方へ角状に突出する「前内方凸変形」を生じます。整復操作で矯正(改善)されるのは、この骨折型に固有の前内方凸変形です。

外科頸は解剖頸のすぐ遠位、大結節・小結節の下方でやや細くなった移行部で、海綿骨に富むため高齢者が転倒して手をついた際に骨折しやすい部位です。外転型は上肢が外転位で手をつき、長軸方向の外力が加わって発生します。このとき近位骨片(骨頭側)は軽度内転位をとり、遠位骨片(骨幹部側)は外転するとともに、大胸筋(および広背筋・大円筋)に引かれて前内方へ転位します。外転によって「内方」の成分が、筋の牽引によって「前方」の成分が加わることで、両骨片のなす角の頂点は前内方を向き、骨折部は前内方に凸の屈曲変形を示します。整復は上腕を軽度外転位で長軸方向に牽引し、遠位骨片を内転方向へ導きながら、前内方に突出した骨折部を後外方へ押し戻すように行います。整復後は上腕を体幹に沿わせた内転位で固定し、変形の再発を防ぎます。逆に内転型では遠位骨片が内転して前外方凸変形となり、固定も外転位で行うため、「型が違えば変形の向きも整復・固定肢位も逆になる」と対で覚えると混乱しません。

✓ 1. 正しい
前内方凸変形
外転型骨折では近位骨片が軽度内転し、遠位骨片は外転するとともに大胸筋などに引かれて前内方へ転位するため、骨折部は前内方に凸となります。これが外転型に固有の変形であり、長軸牽引と遠位骨片の内転操作、骨折部を後外方へ押す圧迫によって矯正されるので、整復で改善するのはこの変形です。
✗ 2. 誤り
前外方凸変形
前外方凸変形は外転型ではなく内転型骨折でみられる変形です。内転型は遠位骨片が内転、近位骨片が軽度外転するため凸の向きが逆になります。外転型の整復ではこの変形は生じていないため、改善の対象になりません。
✗ 3. 誤り
後内方凸変形
遠位骨片は大胸筋(広背筋・大円筋)に引かれて前内方へ転位するため、角状変形の凸は前方に向かいます。外科頸骨折で後方凸が基本型として扱われないのはこのためです。典型的な角状変形は前方凸(外転型は前内方、内転型は前外方)と押さえておきましょう。
✗ 4. 誤り
後外方凸変形
こちらも外科頸骨折の典型変形ではありません。後外方は外転型の整復時に骨折部を押し戻す「方向」であって、生じている変形の向きではない点に注意します。操作の方向と変形の方向を取り違えないようにしましょう。
ポイント
  • 外転型=近位骨片は軽度内転、遠位骨片は外転+大胸筋などの牽引で前内方へ → 骨折部は前内方凸変形。整復で改善するのはこれ。
  • 内転型=近位骨片は軽度外転・遠位骨片は内転 → 骨折部は前外方凸変形。
  • 遠位骨片を前内方へ引くのは大胸筋・広背筋・大円筋。上腕骨に付着しない上腕二頭筋は転位の主因ではない。
  • 外科頸骨折の角状変形は前方凸が基本。後方凸(後内方・後外方)は典型型として出てこない。
  • 整復は軽度外転位で長軸牽引 → 遠位骨片を内転 → 前内方凸を後外方へ押す、の順。固定は上腕を体幹に沿わせた内転位。
  • 高齢者の転倒が主因。整復・固定と並行して腋窩神経麻痺(三角筋部の知覚・外転力)の確認を行う。
比較表
外転型(本問)内転型
受傷肢位上肢外転位で手をつく上肢内転位で手・肘をつく
近位骨片軽度内転軽度外転
遠位骨片外転転位(大胸筋・広背筋・大円筋に引かれ前内方へ)内転転位
骨折部の角状変形前内方凸前外方凸
整復後の固定肢位内転位(上腕を体幹に固定)外転位(外転副子・枕を使用)
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