学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / 柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ29P119
理由で解く 柔道整復師
投球のフォロースルー期に生じる肩後方の痛み、後方の圧痛、そして内旋可動域の減少という3点がそろっています。関節窩後下縁に骨性変化を生じるベネット損傷が考えられます。
投球動作を局面で分けると、コッキング期は肩が外転・最大外旋となり前方の関節包に負担がかかりますが、フォロースルー期は逆で、振り出された上肢を止めるために肩関節後方に強い牽引力(離開ストレス)が働きます。この牽引が繰り返されると、後下方の関節包・後下関節上腕靱帯・後方関節唇の付着部が引かれ続け、関節窩の後下縁に骨棘が形成されます。これが投球骨棘とも呼ばれるベネット損傷です。同時に後方の関節包と腱板後方が拘縮するため、内旋可動域が投球側で明らかに減少します(いわゆるGIRD)。本症例で筋萎縮がないという記載は、棘下筋の萎縮を特徴とする神経絞扼を除外する手がかりになります。対応としては、まず投球を中止して炎症を鎮め、後方関節包のストレッチ(スリーパーストレッチ、クロスボディストレッチなど)で内旋制限を改善し、肩甲帯・体幹・下肢を含めた投球フォームの見直しで肩後方への負担そのものを減らします。骨棘が大きく神経症状を伴う場合は整形外科での評価が必要です。
| 疾患 | 痛みの部位 | 関与する投球局面 | 決め手になる所見 |
|---|---|---|---|
| ベネット損傷 | 肩後方 | フォロースルー期 | 後方圧痛+内旋可動域減少、関節窩後下縁の骨棘 |
| 肩峰下インピンジメント症候群 | 肩前上方 | コッキング〜加速期 | ペインフルアーク、ニア・ホーキンステスト陽性 |
| 肩甲上神経絞扼障害 | 肩後方〜深部 | 特定しにくい | 棘下筋の萎縮、外旋筋力低下 |
| SLAP損傷 | 肩深部 | 後期コッキング〜加速期 | 引っかかり感・クリック、オブライエンテスト陽性 |
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