学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §23 各論(軟部組織損傷) 下肢 / QJ29P106

理由で解く 柔道整復師

QJ29P106 柔道整復理論

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午後 問106
問題
前十字靱帯損傷患者の訴えでないのはどれか。
選択肢
1 「膝がガクッとなる感じ」
2 「膝がはずれる感じ」
3 「膝の力が入らない感じ」
4 「膝が引っかかる感じ」
解答
正解4(「膝が引っかかる感じ」)
解説

設問は「訴えでないのはどれか」。「引っかかる感じ」は半月板損傷や関節内遊離体を思わせる訴えで、前十字靱帯(ACL)損傷の典型的な訴えではないため4が答えになる。

ACLは脛骨が大腿骨に対して前方へずれるのと、下腿の内旋を制動する。断裂すると回旋安定性が失われ、方向転換や着地の瞬間に脛骨が前方へ滑って「膝が抜ける」現象=膝崩れ(giving way)が起きる。患者はこれを「ガクッとなる」「はずれる」「力が入らない」と表現することが多い。一方、断裂した半月板の断片が関節面に挟まると「引っかかる」「途中で止まる」となり、強ければ伸展できないロッキングになる。ただしACL損傷は半月板損傷を合併しやすいので、実際の症例では両方の訴えが混ざることがある点も押さえておきたい。

✓ 4. これが訴えでない=正解
「膝が引っかかる感じ」
引っかかり(catching)やロッキングは、関節内に挟まるものがある状態を示す表現で、半月板損傷や関節内遊離体、離断性骨軟骨炎で聞かれる。ACLは関節面に挟まる構造ではないため、単独損傷でこの訴えが主症状になることはない。合併損傷を疑う手がかりとして重要である。
✗ 1. ACLでよく聞かれる訴え(答えではない)
「膝がガクッとなる感じ」
膝崩れそのものの表現。脛骨が瞬間的に前方へ滑って戻る動き(ピボットシフト現象)を患者の言葉に置き換えたもので、ACL損傷を最も強く示唆する。
✗ 2. ACLでよく聞かれる訴え(答えではない)
「膝がはずれる感じ」
脱臼感(不安定感)の訴え。関節が実際に脱臼するわけではなく、支えを失った脛骨のずれをそう感じている。ACL損傷の代表的な自覚症状である。
✗ 3. ACLでよく聞かれる訴え(答えではない)
「膝の力が入らない感じ」
不安定な膝をかばう防御反応と大腿四頭筋の抑制により、踏ん張れない感じが出る。慢性期には四頭筋萎縮を伴い、この訴えがさらに強まる。
ポイント
  • ACL損傷の訴えは膝崩れ(giving way)系=「ガクッ」「はずれる」「力が入らない」。
  • 「引っかかる」「途中で止まる」「伸びない」は半月板損傷・関節内遊離体を示唆。
  • 受傷時のブツッという断裂音(pop)と急速な関節血腫もACLの手がかり。
  • 徒手検査は前方引き出しテスト、ラックマンテスト、Nテスト(ピボットシフト)。
  • ACL損傷は半月板・内側側副靱帯の合併損傷が多く、訴えが重なることがある。
比較表
患者の言葉示唆される病態裏づけとなる所見
ガクッとなる/はずれる/力が入らないACL損傷(膝崩れ)ラックマンテスト陽性、Nテスト陽性
引っかかる/途中で止まる/伸びない半月板損傷、関節内遊離体マックマレーテスト陽性、関節裂隙の圧痛
膝の内側が痛い/外反で不安内側側副靱帯損傷外反ストレステスト陽性
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