学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §23 各論(軟部組織損傷) 下肢 / QJ29P105

理由で解く 柔道整復師

QJ29P105 柔道整復理論

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午後 問105
問題
膝関節内血症(関節内血腫)がみられるのはどれか。
選択肢
1 鵞足炎
2 ジャンパー膝
3 ランナー膝
4 前十字靱帯損傷
解答
正解4(前十字靱帯損傷)
解説

受傷直後に膝が張って腫れる関節血症は、関節内にあって血流の豊富な組織が切れたときに起こる。選択肢のうち関節内の損傷は前十字靱帯損傷だけ。

前十字靱帯は関節包の内側にありながら滑膜に包まれ、中膝動脈から血流を受けている。そのため断裂すると出血が関節腔内にたまり、受傷後数時間以内に膝が急速に腫脹する。急性の関節血症をきたす原因は前十字靱帯損傷が最も多く、ほかに膝蓋骨脱臼、関節内骨折(骨軟骨骨折)、半月板の辺縁部(血行のある赤色域)断裂が挙げられる。これに対し鵞足炎・ジャンパー膝・ランナー膝はいずれも関節の外にある腱や靱帯の使いすぎによる障害で、局所の炎症性の腫れは出ても関節腔内に血液がたまることはない。受傷直後から急速に腫れる膝は関節内損傷を疑い、固定・冷却のうえ医療機関での評価につなぐのが原則になる。

✓ 4. 正しい
前十字靱帯損傷
関節内にあり滑膜に覆われて血流を受けているため、断裂すると出血が関節腔にたまる。受傷直後から数時間で急速に膝が張ってくる腫脹は関節血症を強く示唆し、前十字靱帯損傷を第一に考える所見となる。
✗ 1. 誤り
鵞足炎
縫工筋・薄筋・半腱様筋の停止部(脛骨近位内側)に生じる炎症で、関節の外側の出来事。圧痛は関節裂隙よりやや遠位の内側にあり、関節内に血液がたまることはない。
✗ 2. 誤り
ジャンパー膝
膝蓋腱、とくに膝蓋骨下極付着部の使いすぎによる腱付着部障害。跳躍やダッシュの反復で生じ、膝蓋骨下極に限局した圧痛が出る。関節包の外の病態であり関節血症は生じない。
✗ 3. 誤り
ランナー膝
腸脛靱帯炎を指し、膝の屈伸に伴って腸脛靱帯が大腿骨外側上顆を擦ることで生じる。膝外側の疼痛が主症状で、関節内の出血とは関係しない。
ポイント
  • 急性の関節血症=関節内にある血流豊富な組織の損傷。前十字靱帯損傷が最多。
  • ほかの原因は膝蓋骨脱臼、関節内骨折(骨軟骨骨折)、半月板辺縁部(赤色域)断裂。
  • 受傷後数時間以内の急速な腫脹は関節血症、翌日以降にゆっくり増える腫脹は関節水症を示唆する。
  • 鵞足炎・ジャンパー膝・ランナー膝はいずれも関節外の使いすぎ障害で、関節血症は起こらない。
  • 急速に腫れる膝は関節内損傷を疑い、固定・冷却のうえ医療機関での評価につなぐ。
比較表
疾患部位腫脹の性質
前十字靱帯損傷関節内(滑膜に覆われ血流あり)受傷直後〜数時間の関節血症
鵞足炎関節外(脛骨近位内側の停止部)局所の炎症性腫脹のみ
ジャンパー膝関節外(膝蓋腱・膝蓋骨下極)局所の圧痛・腫脹
ランナー膝(腸脛靱帯炎)関節外(大腿骨外側上顆部)局所の摩擦による疼痛・腫脹
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