学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §20 各論(脱臼) 下肢 / QJ29P093

理由で解く 柔道整復師

QJ29P093 柔道整復理論

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午後 問93
問題
股関節に外転、外旋、屈曲が強制されて起こるのはどれか。
選択肢
1 腸骨脱臼
2 坐骨脱臼
3 恥骨上脱臼
4 恥骨下脱臼
解答
正解4(恥骨下脱臼)
解説

股関節脱臼は強制された肢位で骨頭の行き先が決まる。外転・外旋に屈曲が加われば骨頭は前下方の閉鎖孔へ抜け、恥骨下脱臼(閉鎖孔脱臼)となる。

屈曲+内転+内旋(膝をダッシュボードに打ち付けるような姿勢)が強制されると、骨頭は後方の関節包を破って後方脱臼(腸骨脱臼・坐骨脱臼)となり、これが股関節脱臼の大半を占める。これに対し外転+外旋が強制されると骨頭は前方へ押し出され、前方脱臼となる。前方脱臼は屈曲を伴うか伸展を伴うかで行き先が分かれ、屈曲していれば下方の閉鎖孔方向=恥骨下脱臼(閉鎖孔脱臼)、伸展していれば上方の腸恥隆起方向=恥骨上脱臼(腸恥脱臼)となる。前方脱臼では骨頭が大腿動静脈・大腿神経を直接圧迫する危険があるため、末梢の拍動と感覚は必ず確認する。

✓ 4. 正しい
恥骨下脱臼
外転・外旋に屈曲が加わると骨頭は前下方の閉鎖孔へ向かう。患肢は外転・外旋・屈曲位のまま弾発性に固定され、健側より長く見えるのが特徴。閉鎖孔脱臼とも呼ばれる。
✗ 1. 誤り
腸骨脱臼
後方脱臼のうち骨頭が腸骨翼の後方へ乗り上げた型で、股関節脱臼のなかで最も頻度が高い。強制肢位は屈曲・内転・内旋であり、患肢は短縮して内転・内旋位をとる。本問の外転・外旋とは向きが反対。
✗ 2. 誤り
坐骨脱臼
同じく後方脱臼で、より強い屈曲位で受傷したときに骨頭が坐骨切痕付近へ落ち込む型。肢位は屈曲の強い内転・内旋位となる。外転・外旋の強制では起こらない。
✗ 3. 誤り
恥骨上脱臼
同じ前方脱臼だが、外転・外旋に「伸展」が加わったときに骨頭が腸恥隆起の前方へ出る型。屈曲ではなく伸展が条件となる点で本問と合わない。骨頭が大腿動脈・大腿神経に近く、末梢の循環・感覚の確認が欠かせない。
ポイント
  • 後方脱臼(腸骨・坐骨)=屈曲・内転・内旋の強制。全体の大多数を占め、患肢は短縮・内転・内旋位。
  • 前方脱臼(恥骨上・恥骨下)=外転・外旋の強制。患肢は外転・外旋位で健側より長く見える。
  • 前方脱臼は「屈曲なら下(恥骨下=閉鎖孔)、伸展なら上(恥骨上=腸恥)」で振り分ける。
  • 後方脱臼では坐骨神経、前方脱臼では大腿動静脈・大腿神経の損傷に注意する。
  • 脱臼を疑ったら患肢の肢位を変えずに固定し、末梢の循環・感覚を確認して速やかに医療機関へつなぐ。
比較表
強制肢位骨頭の位置患肢の見え方
腸骨脱臼(後方・最多)屈曲・内転・内旋腸骨翼の後方短縮、内転・内旋位
坐骨脱臼(後方)強い屈曲+内転・内旋坐骨切痕付近短縮、屈曲の強い内転・内旋位
恥骨上脱臼(前方)外転・外旋+伸展腸恥隆起の前方延長、外転・外旋・伸展位
恥骨下脱臼(前方)外転・外旋+屈曲閉鎖孔の前方延長、外転・外旋・屈曲位
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。