学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §19 各論(脱臼) 上肢 / QJ29P091

理由で解く 柔道整復師

QJ29P091 柔道整復理論

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午後 問91
問題
肩鎖関節上方脱臼Ⅰ度損傷の症状はどれか。
選択肢
1 肩関節外転運動制限
2 反跳症状
3 階段状変形
4 患側上肢の下垂
解答
正解1(肩関節外転運動制限)
解説

肩鎖関節上方脱臼Ⅰ度は肩鎖靱帯の伸張・部分断裂にとどまる捻挫で、転位はない。症状は局所の疼痛・腫脹と、痛みによる肩関節の運動制限(とくに外転)である。

肩鎖関節上方脱臼はトッシー(Tossy)分類でⅠ〜Ⅲ度に分けられる。Ⅰ度は肩鎖靱帯の部分損傷のみで烏口鎖骨靱帯は健全、単純エックス線写真でも転位を認めない。Ⅱ度は肩鎖靱帯が断裂し烏口鎖骨靱帯は部分損傷で、亜脱臼となり軽度の階段状変形が出る。Ⅲ度は両靱帯とも完全断裂して完全脱臼となり、明らかな階段状変形、鎖骨遠位端を押すと沈み離すと戻る反跳症状(ピアノキー現象)、上肢の重みによる患側上肢の下垂がそろう。つまり「変形・反跳・下垂」はすべて転位が前提の所見であり、転位のないⅠ度では出ない。Ⅰ度で認められるのは疼痛由来の症状で、外転90度を超えると鎖骨が回旋して肩鎖関節が動くため、外転運動が痛みで制限される。

✓ 1. 該当する(設問の答え)
肩関節外転運動制限
肩関節を外転していくと鎖骨が軸回旋し肩鎖関節に動きが生じるため、損傷部に疼痛が誘発され自動外転が制限される。転位を伴わないⅠ度でも現れる症状であり、これが答えとなる。
✗ 2. 該当しない
反跳症状
鎖骨遠位端を押し下げると沈み、離すと元に戻るピアノキー現象で、鎖骨が持ち上がっている完全脱臼(Ⅲ度)の所見である。転位のないⅠ度では生じない。
✗ 3. 該当しない
階段状変形
鎖骨遠位端が肩峰より高く突出して段差にみえる所見で、Ⅲ度で明瞭、Ⅱ度で軽度に現れる。Ⅰ度は転位がないため変形を認めない。
✗ 4. 該当しない
患側上肢の下垂
烏口鎖骨靱帯が完全に断裂すると肩甲骨が上肢の重みを支えられず下がるため、患側の肩・上肢が下がってみえる。Ⅲ度の所見であり、Ⅰ度では認めない。
ポイント
  • Ⅰ度=肩鎖靱帯の部分損傷のみ。転位なし。疼痛・腫脹・圧痛と外転運動制限。
  • Ⅱ度=肩鎖靱帯断裂+烏口鎖骨靱帯部分損傷。亜脱臼で軽度の階段状変形。
  • Ⅲ度=両靱帯完全断裂。完全脱臼で階段状変形・反跳症状・患側上肢の下垂。
  • 「変形・反跳・下垂」はすべて転位が前提の所見。転位のないⅠ度では出ないと整理する。
  • 外転90度以上で鎖骨が回旋し肩鎖関節が動くため、外転で疼痛が誘発される。
比較表
項目Ⅰ度Ⅱ度Ⅲ度
肩鎖靱帯伸張・部分断裂断裂断裂
烏口鎖骨靱帯健全部分損傷断裂
転位なし亜脱臼完全脱臼
階段状変形なし軽度明らか
反跳症状なし不明瞭あり
患側上肢の下垂なしなし〜軽度あり
外転運動制限あり(疼痛による)ありあり
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