学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §19 各論(脱臼) 上肢 / QJ28P097

理由で解く 柔道整復師

QJ28P097 柔道整復理論

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午後 問97
問題
肩関節脱臼の発生頻度が高い理由で誤っているのはどれか。
選択肢
1 骨頭に対して関節窩が深い。
2 各方向に広い可動域を持つ。
3 関節の安定性は筋力に依存する。
4 肩関節は突出し外力を受けやすい。
解答
正解1(骨頭に対して関節窩が深い。)
解説

誤っているのは1です。肩関節の関節窩は浅く小さいことこそが、脱臼が起こりやすい最大の理由です。

肩甲上腕関節は球関節で、上腕骨頭の関節面に対して関節窩はおよそ3分の1から4分の1しか受けていません。骨によるはまり込み(骨性支持)が乏しい分、全身で最も広い可動域を得ていますが、その代償として安定性は関節唇・関節包・靱帯と回旋筋腱板などの軟部組織に依存します。そのため強い外力や筋の疲労・弛緩が加わると容易に外れ、全身の脱臼のなかで最も頻度が高くなります。好発は前方(烏口下)脱臼で、外転・外旋・伸展が強制されて生じます。

✓ 1. これが誤り(答え)
骨頭に対して関節窩が深い。
実際は関節窩が浅く小さく、骨頭の一部しか受けていません。記述が事実と逆であり、しかも「浅い」ことが脱臼しやすさの理由なので、理由としても成り立ちません。
✗ 2. 正しい理由(答えではない)
各方向に広い可動域を持つ。
可動域が大きいほど骨性の制動が働かず、可動域の端で外力を受けたときに関節面が外れやすくなります。
✗ 3. 正しい理由(答えではない)
関節の安定性は筋力に依存する。
回旋筋腱板を中心とする動的支持に頼るため、疲労・弛緩・麻痺があると安定性が落ちます。
✗ 4. 正しい理由(答えではない)
肩関節は突出し外力を受けやすい。
体幹の外側に突出した位置にあり、転倒や接触の外力を直接受けやすい構造です。

対応としては、初回脱臼後は反復性へ移行しやすいため固定期間を守り、その後に腱板と肩甲骨周囲筋の再教育を段階的に進めて動的支持を高めます。

ポイント
  • 肩関節窩は浅く小さく、骨頭の3分の1〜4分の1しか受けていない=骨性支持が乏しい。
  • 可動域が最大である代わりに、安定性は関節唇・関節包・腱板など軟部組織に依存する。
  • 体幹外側に突出し外力を直接受けやすい位置にある。
  • 好発は前方(烏口下)脱臼。外転・外旋・伸展の強制で発生する。
  • 初回脱臼後は反復性に移行しやすい。固定期間の遵守と腱板の再教育が要点。
比較表
項目肩関節(肩甲上腕関節)股関節
関節窩の深さ浅く小さい深く骨頭を包み込む(寛骨臼)
主な安定性軟部組織(腱板・関節唇・関節包)骨性+強靱な関節包・靱帯
可動域全身で最大肩より小さい
脱臼の頻度全身で最も高い低い(強大な外力を要する)
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