学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / 柔道整復理論 ▸ §18 各論(脱臼) 頭部・体幹 / QJ28P096
理由で解く 柔道整復師
顎関節前方脱臼では、下顎頭が関節結節を越えて前方へ移動し、下顎頭に付着する関節円板も一緒に下顎窩(関節窩)から前方へ逸脱する。
顎関節は蝶番運動と滑走運動を組み合わせた特殊な関節で、大きく開口すると下顎頭は下顎窩から前方へ滑り出て、関節結節の頂上付近まで移動する。ここを越えたところで咬筋・側頭筋などの閉口筋が急に収縮すると、下顎頭は結節の前方に引き込まれたまま戻れなくなる。これが前方脱臼で、大あくび、長時間の歯科治療、嘔吐などが引き金になる。関節円板は下顎頭の周囲と外側翼突筋上頭に結びついて下顎頭と一体に動くため、下顎頭が前方へ抜ければ円板も下顎窩から外れる。臨床像は開口したまま閉じられない弾発性固定、オトガイの前方突出、耳の前方(下顎窩部)の陥凹で、両側性なら正中偏位はなく、片側性なら健側へ偏位する。咬合は、下顎が前下方へ転位するため上下歯列が離開し、前歯部が大きく開いたままになる(前歯部開咬)。整復は両母指を下顎の臼歯部に当てて下方へ押し下げ、緊張した筋を伸ばしてから後方へ導く(ヒポクラテス法)。整復後は再脱臼しやすいので、包帯で開口を制限し、大あくびや硬い物の丸かじりを数週間避けるよう具体的に指導する。
| 項目 | 両側性前方脱臼 | 片側性前方脱臼 |
|---|---|---|
| 頻度 | 多い | 比較的少ない |
| オトガイの位置 | 正中のまま前方へ突出 | 健側へ偏位 |
| 咬合 | 下顎が前下方へ転位して開口位に固定され、上下歯列は離開し閉口できない。前歯部が大きく開いたままの前歯部開咬となり、上下が近づくとすれば臼歯部側で、前歯が接触することはない | 患側の臼歯部が開き、咬合がずれる(オトガイは健側へ偏位)。前歯部も患側寄りで離開する |
| 陥凹 | 両側の耳前部 | 患側の耳前部のみ |
| 整復 | 両側同時、または片側ずつ | 患側を下方へ押し下げてから後方へ |
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