学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §17 各論(骨折) 下肢 / QJ28P095

理由で解く 柔道整復師

QJ28P095 柔道整復理論

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午後 問95
問題
足根骨前部と中足骨部の図を示す。短腓骨筋が関与したと考えられるのはどれか。
図
選択肢
1 a
2 b
3 c
4 d
解答
正解2
解説

短腓骨筋は第5中足骨粗面(基部外側に突出する骨の隆起)に停止する。足部の内がえし強制でこの腱に引かれて粗面がはがれるのが、いわゆる下駄骨折(第5中足骨基部裂離骨折)である。

足部が急に内がえし(内反)されると、足を外側から支える腓骨筋群が反射的に強く収縮する。腱そのものは強靱なので、力の逃げ場は停止している骨側に向かい、第5中足骨粗面が引きはがされる。この問題は「どの筋がどこに付くか」という停止部の地図さえ持っていれば、図の点を選ぶだけの作業になる。押さえるべき停止部は、短腓骨筋=第5中足骨粗面、長腓骨筋=足底を回り込んで第1中足骨底と内側楔状骨、第3腓骨筋=第5中足骨底の背側面、後脛骨筋=舟状骨粗面。足の外側縁を近位から遠位へ指でたどると、粗面は外側に張り出す骨性の隆起として触れるので、圧痛点と一致するかをその場で確かめられる。

✓ 2. 該当する
b
図中の b が指す位置は、第5中足骨の基部外側に突出する第5中足骨粗面にあたる。ここは短腓骨筋腱の停止部そのもので、内がえし強制時の牽引力が集中する。裂離した骨片は腱に引かれて近位・外側へ転位するため、圧痛はこの一点に鋭く限局し、足の外側で体重を支えられなくなる。
✗ 1. 該当しない
a
図中の a の位置を第5中足骨粗面と照合する。粗面より遠位(骨幹端から骨幹への移行部)であれば、そこはジョーンズ骨折や疲労骨折の好発部で、成因は短腓骨筋の一回性の牽引ではなく、ステップやカッティングの繰り返しによる曲げ応力である。同部は栄養血管が乏しく偽関節になりやすいので、基部裂離骨折とは扱いを分けて考える。
✗ 3. 該当しない
c
図中の c が第5中足骨粗面から外れた位置、たとえば中足骨の骨幹部や足根中足関節の付近を指しているなら、短腓骨筋の停止部ではないので牽引によっては説明できない。短腓骨筋腱が付くのは基部の外側隆起ただ一点であることを、選択の基準にする。
✗ 4. 該当しない
d
図中の d の位置が足の内側寄り、第1中足骨底や内側楔状骨、舟状骨粗面に相当するなら、そこは長腓骨筋あるいは後脛骨筋の停止部で、短腓骨筋とは別の筋が関与する領域である。内側の裂離を疑ったときは後脛骨筋(舟状骨粗面)を、第1列の底側を疑ったときは長腓骨筋を思い出す。
ポイント
  • 短腓骨筋の停止は第5中足骨粗面。内がえし強制でここが裂離すると下駄骨折(第5中足骨基部裂離骨折)になる。
  • 受傷機転は足関節内反捻挫とまったく同じ。外果まわりだけを診て終わらせず、足の外側縁を遠位までたどって圧痛点を確認する。
  • ジョーンズ骨折は粗面より遠位の骨幹端-骨幹移行部に起こり、血行が乏しく偽関節・再骨折のリスクが高い。両者は部位で見分ける。
  • 周辺の停止部:長腓骨筋=第1中足骨底・内側楔状骨、第3腓骨筋=第5中足骨底背側、後脛骨筋=舟状骨粗面。
  • 第5中足骨基部には成長期の骨端核や副骨(ベサリウム骨=ヴェサリウス骨、os vesalianum pedis)が存在しうる。骨端核の透亮線は骨長軸に平行な縦走、裂離骨折の骨折線は骨長軸に対して横走という向きの違いで見分け、健側と比較したうえで判断し、迷えば医師の診察につなぐ。なお第5中足骨基部の骨端部に運動時痛が続く成長期例では、イセリン病(同部の骨端症)も鑑別に入る。
  • 紛らわしい別物として腓骨筋種子骨(os peroneum)がある。これは長腓骨筋腱の中にできる種子骨で、位置は第5中足骨基部ではなく、そこよりやや近位の立方骨外側縁〜踵立方関節部。基部の副骨(ベサリウム骨)と混同すると、エックス線での鑑別で位置を取り違える。
比較表
項目第5中足骨基部裂離骨折(下駄骨折)ジョーンズ骨折
部位第5中足骨粗面(基部の外側隆起)粗面より遠位の骨幹端-骨幹移行部
成因内がえし強制による短腓骨筋腱の牽引(一回性)ステップ動作の反復による曲げ応力(疲労性が多い)
骨折線粗面を横切る裂離型(骨長軸に対し横走)横骨折型で骨幹側へ及ぶ
血行比較的良好乏しい(分水嶺部)
経過保存療法で癒合しやすい遷延癒合・偽関節・再骨折が多く手術が選ばれやすい
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