学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §18 各論(脱臼) 頭部・体幹 / QJ29P090

理由で解く 柔道整復師

QJ29P090 柔道整復理論

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午後 問90
問題
胸鎖関節脱臼で誤っているのはどれか。
選択肢
1 青壮年に多い。
2 変形を残しやすい。
3 二重脱臼が多い。
4 固定が困難である。-25ー'
解答
正解3(二重脱臼が多い。)
解説

胸鎖関節脱臼は前方(胸骨前)脱臼が大多数で、鎖骨の両端が同時に脱臼する二重脱臼はまれ。したがって3が答え。

胸鎖関節は鎖骨内側端と胸骨柄がわずかに接するだけの適合の悪い関節で、間に挟まる関節円板と胸鎖靱帯・肋鎖靱帯が安定性を担っている。肩の外側から後方へ押される外力で鎖骨内側端が前上方へ抜ける前方脱臼がほとんどで、後方脱臼はまれだが気管・大血管・食道を圧迫しうるため危険度が高い。整復操作そのものは難しくないが、鎖骨内側端を押さえ続ける有効な支点がなく再転位しやすいので、突出変形を残しやすい。青壮年のスポーツ・交通外傷で生じ、鎖骨内側の骨端核が癒合していない若年例では脱臼ではなく骨端離開になりやすい点も押さえておきたい。

✓ 3. これが答え(誤った記述)
二重脱臼が多い。
二重脱臼は鎖骨の両端、すなわち胸鎖関節と肩鎖関節が同時に脱臼した状態(浮遊鎖骨)を指し、報告例の少ないまれな損傷。胸鎖関節脱臼の大半は前方脱臼の単独発生であり、「多い」とはいえない。
✗ 1. 答えではない(正しい記述)
青壮年に多い。
スポーツや交通外傷で肩に強い外力を受ける年代に集中する。鎖骨内側端の骨端核は20代まで癒合しないため、それ以前の年代では関節が抜けるより骨端線が離開する形をとりやすい。
✗ 2. 答えではない(正しい記述)
変形を残しやすい。
整復は容易でも保持が難しく、鎖骨内側端の前方突出が残りやすい。前方脱臼の突出変形は外観上の問題が主で、機能障害は比較的軽いことが多い。
✗ 4. 答えではない(正しい記述)
固定が困難である。-25ー'
鎖骨内側端は体幹に近く、外から押さえるための支点が取りにくい。8字帯などでも直接的な圧迫が効きにくく再転位を防ぎにくい。嚥下困難・呼吸困難・上肢の静脈怒張など後方脱臼を疑う所見があれば、その場で無理な操作をせず直ちに医療機関へつなぐ。
ポイント
  • 胸鎖関節脱臼は前方(胸骨前)脱臼が大多数。後方脱臼はまれだが縦隔臓器の圧迫があり緊急性が高い。
  • 整復は容易・保持は困難 → 突出変形を残しやすい、という流れで覚える。
  • 二重脱臼=胸鎖関節と肩鎖関節の同時脱臼(浮遊鎖骨)はまれ。
  • 若年者では脱臼より鎖骨内側の骨端離開になりやすい。
  • 後方脱臼を疑う所見(嚥下・呼吸困難、静脈怒張)があれば速やかに医療機関へ。
比較表
胸鎖関節脱臼肩鎖関節脱臼
頻度・方向前方脱臼が大多数、後方はまれ上方脱臼がほとんど
特徴的所見鎖骨内側端の前方突出階段状変形、反跳症状(ピアノキーサイン)
整復・固定整復は容易、保持が困難で変形が残りやすい整復は容易、保持は困難。程度分類で方針が変わる
注意すべき合併後方脱臼での気管・大血管圧迫烏口鎖骨靱帯断裂による支持性の喪失
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