学習トップ理由で解く 柔道整復師整形外科学 ▸ §11 疾患別各論 全身性の骨・軟部疾患 / QJ29P060

理由で解く 柔道整復師

QJ29P060 整形外科学

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午後 問60
問題
悪性化あるいは悪性腫瘍併発の可能性があるのはどれか。
選択肢
1 モルキオ (Morquio) 病
2 ターナー(Turner) 症候群
3 マルファン(Marfan)症候群
4 フォン・レックリングハウゼン(Von Recklinghausen)病
解答
正解4(フォン・レックリングハウゼン(Von Recklinghausen)病)
解説

フォン・レックリングハウゼン病(神経線維腫症1型)です。良性の神経線維腫が悪性末梢神経鞘腫瘍へ転化することがあり、他の腫瘍の併発も知られています。

この疾患は常染色体顕性(優性)遺伝で、原因遺伝子がつくるニューロフィブロミンは細胞増殖のスイッチであるRasを抑える働きをもつ腫瘍抑制因子です。その抑えが外れるために細胞が増えやすくなり、カフェ・オ・レ斑と多発する神経線維腫に加え、深部の叢状神経線維腫を母地とする悪性末梢神経鞘腫瘍、視神経膠腫、褐色細胞腫などのリスクが高まります。整形外科領域では脊柱側弯(鋭角で進行が速いことがある)や先天性脛骨偽関節症を伴う点が重要です。既存の腫瘤が短期間に大きくなる、硬くなる、痛みやしびれを伴うようになったときは悪性転化を疑い、施術を続けずに専門医へつなぎます。他の3つは骨系統疾患・染色体異常・結合組織疾患で、腫瘍化を特徴とはしません。

✓ 4. 正しい
フォン・レックリングハウゼン(Von Recklinghausen)病
腫瘍抑制遺伝子の異常が本態であるため、神経線維腫からの悪性末梢神経鞘腫瘍への転化や、視神経膠腫・褐色細胞腫などの併発が起こりえます。カフェ・オ・レ斑、側弯、脛骨偽関節も押さえておきたい所見です。
✗ 1. 誤り
モルキオ (Morquio) 病
ムコ多糖症IV型で、分解されない多糖が組織に蓄積する代謝疾患です。体幹短縮型の低身長、扁平椎、外反膝などをきたし、歯突起の低形成による環軸椎不安定から頸髄症を起こす危険がある点が臨床上最も重要ですが、悪性化する疾患ではありません。
✗ 2. 誤り
ターナー(Turner) 症候群
女性でX染色体の1本が欠失または構造異常をきたす染色体異常です。低身長、翼状頸、外反肘、原発性無月経などがみられ、成長ホルモンや女性ホルモンの補充が治療の柱となります。腫瘍化を特徴とする疾患ではありません。
✗ 3. 誤り
マルファン(Marfan)症候群
フィブリリン1の異常による結合組織疾患で、高身長・クモ状指・側弯・漏斗胸・水晶体亜脱臼などをきたします。生命を左右するのは大動脈基部の拡張と解離であり、悪性腫瘍の併発が問題になる疾患ではありません。
ポイント
  • 神経線維腫症1型=カフェ・オ・レ斑+多発神経線維腫。腫瘍抑制遺伝子の異常なので悪性化しうる。
  • 整形外科的な合併は側弯と先天性脛骨偽関節症。
  • 腫瘤が急に増大・硬化・有痛化したら悪性末梢神経鞘腫瘍を疑って専門医へ紹介する。
  • モルキオ病は歯突起低形成による環軸椎不安定→頸部の徒手操作に注意。
  • マルファン症候群は大動脈解離、ターナー症候群は低身長・性腺形成不全が主題で、いずれも腫瘍が主題ではない。
比較表
疾患本態主な整形外科所見悪性化・悪性腫瘍併発
フォン・レックリングハウゼン病腫瘍抑制遺伝子NF1の異常(常染色体顕性)側弯、先天性脛骨偽関節症、多発神経線維腫あり(悪性末梢神経鞘腫瘍、視神経膠腫など)
モルキオ病ムコ多糖症IV型(代謝異常)体幹短縮型低身長、扁平椎、歯突起低形成→環軸椎不安定なし
ターナー症候群X染色体の欠失・構造異常低身長、外反肘、翼状頸特徴としてはなし
マルファン症候群フィブリリン1の異常(結合組織疾患)高身長・クモ状指、側弯、漏斗胸なし(大動脈解離が最大の問題)
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