学習トップ理由で解く 柔道整復師整形外科学 ▸ §6 総論 スポーツ整形外科 / QJ29P058

理由で解く 柔道整復師

QJ29P058 整形外科学

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午後 問58
問題
学校管理下の柔道で頭部外傷による死亡事故を最もきたしやすい技はどれか。
選択肢
1 大外刈り
2 袈裟固め
3 払い腰
4 内股
解答
正解1(大外刈り)
解説

大外刈りです。真後ろに崩されて倒れ、後頭部を畳に打ちつける形になりやすく、急性硬膜下血腫による死亡事故の原因技として最も多く報告されてきました。

頭部外傷の重さを決めるのは、打った強さそのものよりも頭部に加わる回転・加速の大きさです。後方へ倒されると頭が大きく振られたまま床に達し、脳表と硬膜静脈洞をつなぐ架橋静脈が引きちぎられて急性硬膜下血腫を起こします。大外刈りは相手を真後ろに崩す技であるため、後ろ受け身が身についていない初心者や、体格差・疲労がある場面では特に危険が高くなります。本試験が行われた2021年(令和3年)当時までの学校管理下の柔道事故の集計でも、頭部外傷による死亡・重度後遺障害の原因となった技として大外刈りが最も多く挙げられてきました。指導では、後ろ受け身の習熟を確認したうえで段階的に導入する、体格差のある組合せを避ける、疲労時には投げ込みを行わないといった配慮が有効です。頭を打った後に頭痛・嘔吐・健忘・ふらつきがあれば、その場で練習を中止して医療機関につなぎ、症状が完全に消えるまで復帰させないことが大切です。

✓ 1. 正しい
大外刈り
相手を真後ろに倒す足技です。受け身が不十分だと後頭部から落ち、頭部に大きな回転加速度が加わって架橋静脈が断裂し、急性硬膜下血腫に至ります。学校柔道の重大事故の原因技として最も多く報告されています。
✗ 2. 誤り
袈裟固め
投技ではなく寝技(抑込技)です。相手を畳の上で制する技であり、頭部が加速して床に叩きつけられる場面そのものがありません。窒息・頸部への圧迫に注意すべき技ではありますが、頭部外傷死の主因ではありません。
✗ 3. 誤り
払い腰
相手を自分の腰に乗せて前方へ回転させる腰技です。受ける側は前回り受け身や横受け身の形になり、後頭部から落ちる軌道になりにくいため、大外刈りほど頭部外傷死は多くありません。
✗ 4. 誤り
内股
相手の内股を跳ね上げて前上方へ投げる技で、受ける側は前方へ回転して落ちます。頭部や頸部のけがが起こらないわけではありませんが、後方への加速で急性硬膜下血腫を最も多く生じさせてきたのは大外刈りです。
ポイント
  • 大外刈り→後方へ倒れて後頭部を強打→架橋静脈の断裂→急性硬膜下血腫、という流れで覚える。
  • 危険を決めるのは頭部に加わる回転加速度。予防の中心は後ろ受け身の習熟。
  • 初心者、体格差の大きい組合せ、練習後半の疲労時にリスクが上がる。
  • 頭部打撲後の頭痛・嘔吐・健忘・意識消失は直ちに中止して受診させる。
  • 脳振盪を疑ったら症状が消えるまで復帰させない(回復前の再受傷は重篤化しうる)。段階的復帰の手順に沿って戻す。
比較表
分類崩す方向受ける側の受け身頭部外傷のリスク
大外刈り足技真後ろ後ろ受け身高い(後頭部強打→急性硬膜下血腫)
払い腰腰技前〜横前回り受け身・横受け身相対的に低い
内股足技前上方前回り受け身相対的に低い
袈裟固め固技(抑込技)投げない頭部を打つ場面がない
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