学習トップ理由で解く 柔道整復師一般臨床医学 ▸ §4 診察各論 打診 / QJ29P028

理由で解く 柔道整復師

QJ29P028 一般臨床医学

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午後 問28
問題
腹水が貯留している時、臥位で側腹部の打診で聴かれるのはどれか。
選択肢
1 濁音
2 清音
3 鼓音
4 グル音
解答
正解1(濁音)
解説

腹水は重力に従って腹腔の低い部分にたまるため、臥位では側腹部(側腹壁側)に液体が集まる。液体の上を打診すると音は響かず、濁音を聴く。

打診音の高低は、その下に空気があるか液体・充実性組織があるかで決まる。空気を多く含む部位は振動がよく伝わって鼓音(腸管や胃泡の上)や清音(正常肺野)となり、液体や実質臓器の上では振動が吸収されて濁音(心臓・肝臓・腹水部)となる。腹水が貯留した腹腔を仰臥位でみると、比重の大きい腹水は左右の側腹部へ流れ、ガスを含んで軽い腸管は浮き上がって臍を中心とする腹部中央に集まる。したがって側腹部=濁音、中央部=鼓音という分布になり、側臥位に変えれば下側になった側が濁音、上側が鼓音へと境界が移動する。これが移動性濁音(shifting dullness)で、腹水を疑う際の基本手技である。腹部膨隆で腹水を疑う所見が得られたら、原因検索が必要なので医療機関受診を勧める。

✓ 1. 正しい
濁音
臥位では腹水が重力で側腹部に流れ込むため、その上の打診では振動が液体に吸収されて濁音となる。体位を変えると濁音の境界が移動する(移動性濁音)ことを確認できれば、腹水貯留を強く疑う根拠になる。
✗ 2. 誤り
清音
清音は含気量の多い正常肺野を打診したときに聴かれる、よく響く低調な音である。腹部で聴く音ではなく、腹水がたまった側腹部で聴かれることはない。
✗ 3. 誤り
鼓音
鼓音はガスを含む腸管や胃泡の上で聴かれる太鼓のような高く響く音である。腹水貯留例の臥位では、浮き上がった腸管が集まる腹部中央で鼓音を聴くのであって、液体がたまる側腹部では聴かれない。
✗ 4. 誤り
グル音
グル音(腸雑音・腸蠕動音)は腸管の蠕動によって生じる音で、聴診器を当てて聴取するものであり打診音ではない。腸閉塞では金属音、麻痺性イレウスや腹膜炎では減弱・消失といった変化を評価する。
ポイント
  • 腹水は重力で低い部位へ、ガスを含む腸管は浮き上がる。臥位なら側腹部=濁音、中央=鼓音。
  • 体位変換で濁音の境界が動く=移動性濁音(shifting dullness)。腹水の基本所見。
  • 打診音:清音=正常肺野、鼓音=ガスを含む腸管・胃泡、濁音=液体・実質臓器(心・肝・腹水)。
  • グル音は打診ではなく聴診で評価する腸蠕動音。金属音は腸閉塞を示唆。
  • 腹水を疑う所見があれば原因検索が必要。医療機関への受診を勧める。
比較表
打診音聴かれる部位下にあるもの
清音正常肺野含気量の多い肺
鼓音腹部中央(腹水例)、胃泡部、腸管上ガス
濁音側腹部(腹水例)、心・肝の領域液体・実質臓器
グル音(※打診音ではない)腹部全体(聴診)腸管の蠕動運動
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