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理由で解く 柔道整復師

QJ29P027 一般臨床医学

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午後 問27
問題
身体所見と疾患の組合せで正しいのはどれか。
選択肢
1 仮面様顔貌-鉄欠乏性貧血
2 くも状血管腫-肝硬変
3 スプーン状爪-クッシング(Cushing) 症候群
4 赤色皮膚線条・パーキンソン(Parkinson) 病
解答
正解2(くも状血管腫-肝硬変)
解説

正しい組合せは「くも状血管腫-肝硬変」。残る3つは、所見と疾患の相手が互いに入れ替わった形で並べられている。

くも状血管腫は、中心にある細動脈からクモの脚のように毛細血管が放射状に広がる皮膚所見で、顔面・前胸部・上肢など上大静脈が集める領域に出やすい。中心をペンなどで圧すると周囲の赤みが消え、離すと中心から外側へ赤みが戻るのが特徴で、これは中心の細動脈が血液の供給源だからである。肝硬変で出現するのは、肝臓でのエストロゲンの不活化が低下して血中エストロゲンが相対的に過剰となり、末梢の細動脈が拡張するため。同じ機序で手掌紅斑や女性化乳房も現れるので、3つをひとまとめに「肝硬変のエストロゲン過剰所見」として覚えると取りこぼさない。他の3肢は、仮面様顔貌=パーキンソン病、スプーン状爪=鉄欠乏性貧血、赤色皮膚線条=クッシング症候群、と相手を入れ替えれば、すべて正しい組合せになる。

✗ 1. 誤り
仮面様顔貌-鉄欠乏性貧血
仮面様顔貌は、表情筋の動きと瞬目が乏しくなり能面のように見える顔つきで、パーキンソン病の代表的な所見である。無動・筋固縮が顔面に現れたものと理解するとよい。鉄欠乏性貧血で目立つのは眼瞼結膜の蒼白、匙状爪、舌炎、口角炎、氷などを好む異食症であり、顔貌の変化ではない。相手を「パーキンソン病」に入れ替えれば正しい組合せになる。
✓ 2. 正しい
くも状血管腫-肝硬変
肝機能低下によりエストロゲンの分解が滞り、末梢細動脈が拡張して生じる。慢性肝疾患を示唆する身体所見として、手掌紅斑・女性化乳房と並ぶ代表格である。肝硬変ではこのほかに黄疸、腹壁静脈怒張(メドゥーサの頭)、腹水、羽ばたき振戦なども合わせて確認する。
✗ 3. 誤り
スプーン状爪-クッシング(Cushing) 症候群
スプーン状爪(匙状爪)は爪甲が薄くなって反り返り、中央がくぼんでスプーンのようになる所見で、鉄欠乏性貧血でみられる。爪を作るのに鉄が要るため、鉄不足が爪の性状に現れると考えるとつながる。クッシング症候群の身体所見は中心性肥満、満月様顔貌、水牛様脂肪沈着、赤色皮膚線条、皮膚の菲薄化と易出血性などである。
✗ 4. 誤り
赤色皮膚線条・パーキンソン(Parkinson) 病
赤色皮膚線条は腹部・大腿・腋窩などに生じる幅の広い赤紫色の線で、コルチゾール過剰でタンパク異化が進んで皮膚が菲薄化したところへ脂肪が蓄積し、真皮が裂けて生じる。クッシング症候群の所見である。パーキンソン病の四大徴候は安静時振戦・筋固縮・無動(寡動)・姿勢反射障害で、身体所見としては仮面様顔貌、小刻み歩行、前傾前屈姿勢が挙がる。
ポイント
  • くも状血管腫・手掌紅斑・女性化乳房は肝硬変の3点セット。共通の機序は肝でのエストロゲン不活化の低下
  • くも状血管腫は中心を圧すと消え、離すと中心から赤みが戻る。上大静脈領域(顔・前胸部・上肢)に出やすい
  • スプーン状爪(匙状爪)は鉄欠乏性貧血。眼瞼結膜蒼白・舌炎・異食症とセットで押さえる
  • 赤色皮膚線条・満月様顔貌・中心性肥満はクッシング症候群。コルチゾール過剰による皮膚菲薄化が土台
  • 仮面様顔貌はパーキンソン病。表情の乏しさは「顔面に出た無動」と捉えると忘れにくい
  • 組合せ問題は、誤った肢の相手を正しくつなぎ直すところまで確認すると4問分の知識になる
比較表
身体所見本来の疾患成り立ち
仮面様顔貌パーキンソン病表情筋の無動・筋固縮、瞬目減少
くも状血管腫肝硬変エストロゲン不活化の低下による細動脈拡張
スプーン状爪(匙状爪)鉄欠乏性貧血爪甲が菲薄化し反り返る
赤色皮膚線条クッシング症候群コルチゾール過剰による皮膚菲薄化+脂肪蓄積で真皮が裂ける
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