学習トップ理由で解く 柔道整復師一般臨床医学 ▸ §3 診察各論 視診 / QJ29P026

理由で解く 柔道整復師

QJ29P026 一般臨床医学

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午後 問26
問題
突進歩行がみられるのはどれか。
選択肢
1 腓骨神経麻痺
2 腰部脊柱管狭窄症
3 進行性筋ジストロフィー
4 パーキンソン(Parkinson) 病
解答
正解4(パーキンソン(Parkinson) 病)
解説

突進歩行(突進現象)はパーキンソン病の代表的な歩行障害である。前傾前屈姿勢で重心が前方に外れ、姿勢反射障害のためブレーキがかけられず、歩幅が小さいまま加速して止まれなくなる。

パーキンソン病は中脳黒質の緻密部にあるドパミン作動性ニューロンが変性・脱落し、線条体でのドパミンが不足することで発症する。四大徴候は安静時振戦・筋固縮(歯車様固縮)・無動/寡動・姿勢反射障害で、歩行にはこれらが重なって現れる。すなわち前傾前屈姿勢で重心が支持基底面の前縁より前に出てしまい、無動のために一歩目が出ず(すくみ足)、いったん歩き出すと歩幅は小さいまま歩調だけが速くなり(小刻み・加速歩行)、姿勢反射障害で立ち直れないため前へつんのめるように進んでしまう。これが突進歩行である。歩行障害は疾患ごとに機序が違うので、「なぜその歩き方になるのか」で整理すると取り違えない。転倒リスクが高いので、施術では方向転換や狭い場所での動作をゆっくり行わせ、床の段差や敷物を減らす環境調整を家族と共有する。

✓ 4. 正しい
パーキンソン(Parkinson) 病
前傾前屈姿勢による重心の前方偏位と、姿勢反射障害によるブレーキ機能の低下が重なって突進現象が生じる。すくみ足・小刻み歩行・加速歩行・方向転換時の不安定さも同じ機序で説明でき、いずれもパーキンソン病に特徴的な歩行所見である。
✗ 1. 誤り
腓骨神経麻痺
前脛骨筋など足関節背屈筋が麻痺して下垂足となるため、つま先が床に引っかからないよう膝と股関節を高く上げて振り出す鶏歩(steppage gait)となる。踵接地ができず、つま先(足尖)から接地するのも特徴で、突進現象とは機序も見た目も異なる。
✗ 2. 誤り
腰部脊柱管狭窄症
歩行を続けると馬尾や神経根への血流が不足し、下肢のしびれ・脱力で歩けなくなるが、前屈位で休むと再び歩ける間欠跛行(馬尾性)が特徴である。歩ける距離が徐々に短くなるのが問題であり、加速して止まれなくなる突進現象とは別物である。
✗ 3. 誤り
進行性筋ジストロフィー
体幹・骨盤帯の近位筋が弱るため、中殿筋が骨盤を支えきれず左右に体を振る動揺性歩行(アヒル歩行)となる。床から立ち上がる際に自分の膝腿に手をついてよじ登る登攀性起立(Gowers徴候)を伴うのも典型で、突進現象はみられない。
ポイント
  • 突進歩行=パーキンソン病。前傾姿勢による重心前方偏位+姿勢反射障害が原因。
  • パーキンソン病の四大徴候:安静時振戦・筋固縮・無動/寡動・姿勢反射障害。
  • 鶏歩=腓骨神経麻痺(下垂足)。踵接地ができず足尖から接地する。
  • 動揺性歩行+Gowers徴候=進行性筋ジストロフィー。間欠跛行は腰部脊柱管狭窄症(前屈で軽快)と閉塞性動脈硬化症(休むと軽快)で鑑別する。
  • 歩行障害は「どの機能が落ちてその歩き方になるのか」で整理すると混同しない。
比較表
歩行の型代表疾患機序
突進歩行・小刻み歩行・すくみ足パーキンソン病重心の前方偏位+姿勢反射障害+無動
鶏歩(steppage gait)腓骨神経麻痺足関節背屈筋麻痺による下垂足。膝・股を高く上げ、足尖から接地する
動揺性歩行(アヒル歩行)進行性筋ジストロフィー骨盤帯近位筋(中殿筋など)の筋力低下
間欠跛行腰部脊柱管狭窄症歩行時の馬尾・神経根の血流不足(前屈で軽快)
痙性歩行(はさみ足歩行)錐体路障害・脳性麻痺下肢の筋緊張亢進
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。