学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §14 感覚の生理 / QJ29A105

理由で解く 柔道整復師

QJ29A105 生理学

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午前 問105
問題
筋肉の痛みの感覚受容器はどれか。
選択肢
1 筋紡錘
2 パチニ小体
3 ルフィニ小体
4 自由神経終末
解答
正解4(自由神経終末)
解説

痛みを受け取るのは、被膜をもたない裸の神経終末=自由神経終末です。筋の侵害受容器もこれにあたるため、正しいのは4。

感覚受容器は、終末が結合組織の被膜(小体)に包まれているものと、包まれていないものに分けられます。触圧・振動・伸張を受け取る受容器は被膜をもち、その構造によって適刺激と順応の速さが決まります。これに対し侵害受容器(痛覚受容器)と温度受容器は被膜をもたない自由神経終末です。筋では、細い有髄のAδ線維(群III)と無髄のC線維(群IV)の終末が筋膜・筋周膜・血管の周囲に分布し、過度の伸張や圧迫といった機械的刺激、虚血、そして炎症で増える発痛物質(ブラジキニン、セロトニン、K+、H+、プロスタグランジンなど)によって興奮します。筋の痛みが鈍く、場所を特定しにくく、離れた部位に関連痛として現れやすいのは、伝導の遅いC線維が主体であることと、脊髄後角で皮膚など他の入力と収束することによります。筋紡錘やゴルジ腱器官は同じ筋の中にありますが、痛みではなく長さや張力を伝える受容器です。

✓ 4. 正しい
自由神経終末
被膜に包まれていない裸の神経終末で、侵害受容器および温度受容器として働きます。皮膚だけでなく筋・腱・関節包・骨膜・内臓など全身に広く分布し、筋では機械的な過伸展や虚血、発痛物質に反応します。特定の構造をもたないぶん多様な刺激を受け取れるのが特徴です。
✗ 1. 誤り
筋紡錘
錘内筋線維に感覚終末が巻きついた伸張受容器で、筋の長さと伸ばされる速さを検出し、Ia線維・II線維で脊髄へ伝えます。伸張反射(腱反射)の入力源であり、γ運動ニューロンによって感度が調節されます。筋にある代表的な受容器ですが、担当は痛みではなく筋の長さです。
✗ 2. 誤り
パチニ小体
玉ねぎ状の層板構造をもつ被膜受容器で、速い振動と圧の変化に応答します。順応が非常に速く、刺激が加わった瞬間と離れた瞬間にだけ発火するのが特徴です。皮下組織・関節周囲・腸間膜などに分布し、痛覚は担当しません。
✗ 3. 誤り
ルフィニ小体
紡錘形の被膜をもち、皮膚の伸展や持続的な圧に対して順応が遅く反応し続ける受容器です。関節包にも存在し、関節の位置感覚に関与します。持続する刺激を伝える点で自由神経終末と役割が似て見えますが、伝えているのは痛みではなく機械的な伸び具合です。
ポイント
  • 痛覚・温度覚は自由神経終末(被膜なし)。触圧・振動は被膜をもつ小体が担当する。
  • 筋の侵害受容:Aδ線維(群III)=鋭く限局した機械的痛み、C線維(群IV)=鈍く広がる持続痛・化学的痛み。
  • 筋にある受容器の役割分担 ── 筋紡錘=長さと速さ/ゴルジ腱器官=張力/自由神経終末=痛み。
  • 発痛物質はブラジキニン、セロトニン、ヒスタミン、K+、H+、プロスタグランジンなど。プロスタグランジンは自身では痛みを起こさず閾値を下げて痛覚過敏をつくる。
  • 筋の痛みは局在が曖昧で関連痛を伴いやすい。圧痛点だけで判断せず、運動時痛・関節可動域・筋力とあわせて評価する。
比較表
受容器構造適刺激順応求心線維
自由神経終末被膜なし(裸の終末)侵害刺激(機械・化学・熱)、温度遅いAδ(群III)・C(群IV)
筋紡錘錘内筋線維に巻きつく筋の伸張(長さ・速さ)遅いIa・II(群I・II)
ゴルジ腱器官腱のコラーゲン束の間筋の張力遅いIb
パチニ小体層板状の被膜速い振動・圧の変化非常に速い
ルフィニ小体紡錘形の被膜皮膚の伸展・持続圧遅い
マイスネル小体被膜あり(真皮乳頭)軽い触・低周波振動速い
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